TBSドラマ日曜劇場「日本沈没」のNetflix配信から考える「日本ドラマ」の可能性
2021年10月10日から放送が開始されたTBSドラマ日曜劇場「日本沈没」の新たな試みが話題になっています。
このドラマは1973年刊行の小松左京の小説「日本沈没」の舞台を2023年に置き換え、天海という環境省の官僚を小栗旬が演じ、他には松山ケンイチ、香川照之、杏など豪華キャストでも話題のドラマです。
これまでに第1話と第2話が放送され、両話ともに視聴率15%を超え、さらに放送中にはTwitterの国内トレンドで「1位」と獲得するなど、大きな反響を呼んでいます。
「日本沈没」のあらすじはこちらです。
野心家で出世欲の強い環境省官僚・天海(小栗)は時に強引な手を使い、政策を推し進めてきた。そして各省庁の精鋭達を招集した総理肝入りの“日本未来推進会議”に環境省代表として参加するまでに上りつめる。そこで日本地球物理学界の異端児とされる田所博士(香川照之)のある説を知る。初めは半信半疑でロクに相手にしなかった天海だったが、次々と起こる災害を目の当たりにし、やがて田所博士を信頼し共にこれから予想される日本の危機に立ち向かっていく。
①テレビ放送終了後わずか3時間後の「Netflix」配信
実はこのドラマ、テレビ放送終了後わずか3時間後に毎週1話ずつ「Netflix」で配信されているのです。
しかも約30言語に字幕翻訳され、世界190の国や地域に一斉配信されています。現在の「Netflix」視聴者は全世界で2億人とも言われていますから、日本の人口の約倍の人々がターゲットということになります。
さらにその配信料は10億円とも言われており、TBSは巨額の利益を得たことになります。
この手法、実は韓国ドラマをお手本にしています。日本でも大ヒットした「愛の不時着」や「梨泰院クラス」も韓国でのテレビ放送終了後わずか1時間後に「Netflix」で配信されていました。
韓国がこの手法を使ったことによりいったいが何が起こったか。それは次回以降の地上波放送の視聴率に跳ね返るという現象が起き、それが大ヒットの要因の一つとなりました。
TBS他、日本のテレビ局もこの手法を知り動いていたようですが、何でもかんでも「Netflix」で配信されるというわけではありません。世界配信にふさわしいものであるか厳しい審査があり、その審査を通過しなければなりません。
今回の日曜劇場「日本沈没」がこの審査を通ったということは、今後他のドラマが世界配信していくための、いいお手本になったとも言えます。
②地上波放送からNetflix配信への流れがもたらす世界進出
日曜劇場「日本沈没」がテレビ放送終了後すぐに「Netflix」で配信される。これは今後の日本のテレビ業界にどんな影響をもたらすのか。
まず考えられるのは配信料でしょう。この配信料があれば、例え視聴率がとれなくても制作費の足しにすることができます。
日本のテレビ局はCM放送などのスポンサー料を主な収入源としていますが、ネット動画の普及によるテレビ視聴者数の低下、新型コロナウィルスによる経済低迷の影響により、スポンサー料が下がってきていることを昨今よく耳にします。
スポンサー料が下がれば、番組を作るための製作費も少なくなり、良質な番組を作ることが難しくなります。そうすると「テレビは面白くない」「つまらない」と視聴者が感じ、さらに視聴率が低下してしまうという悪循環に陥ってしまいます。
ここに「Netflixの配信料」が加われば、いい番組を作るための製作費に充てることもできるのではないでしょうか。
面白く魅力的な番組が増えていけば、視聴者もまたテレビに戻ってきます。
次に考えられるのは、日本のドラマや俳優の世界進出です。
先述したように「日本沈没」は約30言語に字幕翻訳され190の国や地域に配信されています。これにより日本だけでなく世界中の人々に見てもらえるようになります。
前回の記事で紹介した世界的大ヒットしている韓国ドラマ「イカゲーム」同様に、日本のドラマが世界的に大ヒットする未来も遠くありません。
別の見方をすると、ドラマや映画を製作する側も日本だけでなく、世界中の人々を魅了する作品を作っていかなければならないということになります。
スマホ一つで、世界中の面白い作品を簡単に見ることができるようになった今だからこそ、世界に目を向ける意識を、持つことが最も必要なのではないでしょうか。
近い将来、日本の映画やドラマ、俳優がアメリカのアカデミー賞やエミー賞で拍手喝采を浴びている姿を見ることができるかもしれません。
私、小説家の川井利彦は毎日新作小説を公開しています。
もし良かったら読んでみてください。
ではまた。小説家の川井利彦でした。
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