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【三国史】 統失2級男が書いたショート小説
今から1247年後、人類は滅び、それから更に2億2千万年後、地球は進化したウサギが文明を築き支配していた。進化したウサギは二足歩行をしており、本作では便宜上、彼等をウサギ人と呼ぶ事にする。ウサギ人が支配する地球は3つの国に分かれ、それぞれの国名は『ギ』と『ゴ』と『ショク』であった。国力は『ギ』が最も強く、次が『ゴ』であり、最後が『ショク』の順である。『ギ』の皇帝はソウソウと言い、『ゴ』の皇帝はソンケンと言い、『ショク』の皇帝はリュウビと言った。当初、『ゴ』と『ショク』は同盟を結び、最強の国家である『ギ』に対抗していたが、この2か国はウサギ歴4351年に支配地域の領有権を巡って仲違いし、遂には戦争に突入してしまう事になる。そして、国力の弱い『ショク』は大きな戦いで2度敗北し劣勢に立たされ、滅亡寸前まで追い込まれていた。
『ショク』の宮殿では抗戦派と降伏派が御前会議で対立し激しい議論を交わしていた。降伏派の1人であるバチョウはこう進言する。「最早、万策尽きました。これ以上戦争を続けるのは無駄な事です。これ以上無意味に兵士や国民を死なせてはなりませぬ。我等に残された策は降伏しかありません。陛下、苦渋の決断にはなりますが、降伏案をお受け入れ下さいませ」すると、それを聞いていた抗戦派の1人であるチョウヒが空かさず反論する。「何を言うか、バチョウ!! 陛下に屈辱の降伏案を進言するとは、お前はそれでも『ショク』の臣下か!! 陛下、降伏の必要はありませぬぞ、只今、セイトコーポレーションのショカツリョウが、新兵器を開発しており、完成は目前となっております。新兵器が完成致しましたら、戦況は一気に改善する事でしょう。それまでの辛抱でごさいます」皇帝リュウビは暫しの沈黙の後、静かに口を開いた。「『ゴ』に降伏はせぬが、和平交渉は進める事とする。和平交渉で時間を稼ぎつつ、ショカツリョウの新兵器開発を待つ事にしよう」
2ヶ月後、ショカツリョウは遂に新兵器を開発した。その新兵器とはAIが搭載された飛翔昆虫型自爆兵器であった。ショカツリョウはその新兵器を量産し、リュウビはそれを戦争に大量投入する。新兵器の威力は絶大であり戦況を一変させた。劣勢にあった『ショク』は息を吹き返し、『ゴ』を逆に追い詰めて行く。新兵器開発から僅か3週間で『ゴ』は降伏を申し入れて来た。リュウビは『ゴ』を平定し、皇帝ソンケンに自害を命じて、ソンケンは割腹自殺する事となった。その後も『ショク』の快進撃はそれに留まらず、勢いに乗ったリュウビは大国『ギ』にも侵攻し、新兵器の圧倒的な力の前に『ギ』もまた僅か45日で陥落してしまう。そして、『ギ』の皇帝ソウソウも割腹自殺に追い込まれるのだった。
『ショク』は地球全土を支配し、リュウビは我が世の春を謳歌していた。しかし、一寸先は全く持って闇であり、暗雲の兆しはリュウビの足元に忍び寄っていた。それに気付かぬリュウビは連日連夜、宴会を開いては享楽に溺れている。暗雲の兆しとは野心家ショカツリョウの事であった。ショカツリョウは密かに飛翔昆虫型自爆兵器のプログラムを書き換え、『ショク』の全ての将軍とリュウビの暗殺を企て、それを成功させてしまう。ショカツリョウは一夜にして、『ショク』を乗っ取り、国名を『シン』と改め『シン』の初代皇帝に即位するのだった。
ショカツリョウは地球を8つのエリアに分けて、その各エリアを8人の息子たちに統治させる事にした。ショカツリョウの息子たちとその子孫たちは互いに協力し合い、長きに渡り地球を平和的に統治して行くのだった。こうしてウサギ人の文明は益々、発展する事になるのでした。