グレイシー一族の功績
PRIDEはプロレス文化にどっぷり浸かった半格闘技団体だったので善玉桜庭、悪役グレイシーという単純な対立構図を作り上げ、プロレスから流れて来ていた純粋なファンたちを熱狂させ人気を博していた。そのプロレスファンたちに言わせると、グレイシー一族は金の亡者で更に自分たちに有利なルールを押し付けて来る卑怯な奴らという事だった。しかし、格闘家という者は命を懸けてマットに上がる訳で、その対価として高額なファイトマネーを要求するのは、何ら卑怯な事ではない。またグレイシーに有利なルールと言う点に付いても、ヒクソン高田戦のルールは、判定決着無しという点を除き、極めてノーマルなルールでその後のPRIDEルールの基本にもなった。そしてホイス桜庭戦のルールも、グレイシー一族が只単に判定決着を嫌っただけの事であった。つまりグレイシー一族が要求したルールは、極めて常識的なルールであったのだ。グレイシー一族を卑怯者と批判し、桜庭を神聖視していた当時のプロレスファンたちは、PRIDE側の商業的戦略に簡単に乗せられた微笑ましい迄に、純粋な者たちだったという事になる。さて現代に話を移すと、世界中のMMAファイターの多くが柔術を学んでいるという事実を無視する事は出来ない。グレイシーハンターとしてプロレスファンたちが持ち上げていた桜庭でさえ、現在はクインテットというノー着柔術をやっている。グレイシー一族最大の目的は、柔術を世界に普及させる事だったので、グレイシー一族は完全勝利を収めたと言っても過言ではない。また冒頭でPRIDEを半格闘技団体と表現したが、グレイシー一族の者たちが、PRIDEで八百長試合を行う事は一度もなかった。そして最後にもう1つ事実を言っておく。現在世界中で真剣勝負の総合格闘技が観戦出来るようになったのは、1993年のコロラドでホリホン・グレイシーがUFCを旗揚げしてくれたお陰である。MMAの祖はグレイシーであって決して猪木やUWFではないのだ。グレイシー一族万歳。
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