デキる営業マンのワザ|講演会講師人気の酒井とし夫の記事
私が会社に勤めていた頃のことです。隣の課にものすごく仕事ができる優秀な先輩営業マンがいました。
その先輩は社内、社外を問わず皆にウケが良く、その人から頼みごとをされるとなぜか「NO!」とは言いにくい先輩でした。
ある時、その先輩と話していて気づいたことがあります。それは、その先輩がよく私の肩や背中をポンポンっ!と軽く叩くことです。
私はこの先輩の肩や背中への”タッチ”もウケの良さや依頼の承諾に影響しているのではないか、と思ったのです。
フランスで次のような心理実験が行われたことがあります。
路上で見ず知らずの人に
「小銭を貸してくれませんか?」
と頼む実験です。
さて、あなたはどれくらいの割合の人が小銭を貸してくれたと思いますか?この実験では普通に頼んだ場合の承諾率は28%だったそうです。
では、 「小銭を貸してくれませんか?」と頼む際に、相手の前腕に軽く触れた場合には承諾率はどの程度になったと思いますか?
その承諾率はなんと47%に増えたそうです。
また、他の心理学実験からは相手に触れるという行為が次の効果をもたらすことも証明されています。
・外見がより良く見える。
・初対面の人の印象がポジティブになる。
・患者のストレスを緩和する。
さらに大阪ガス行動観察研究所の松波晴人所長もリピーターを増やすために必要なこととして次のように述べています。
「お釣りを渡すときに、そのスタッフは私の手に少しだけ触れた。この行動には有効性を示す根拠がある。お客様は手に触れられたかどうかははっきりとは憶えていない。しかし、手を触れられたほうがお客様の満足度は高まる。実際、そのほうがチップが増えたという実験データもある。」
(「ビジネスマンのための行動観察入門」講談社現代新書より)
やはり”触れる”という行為は相手に影響を与えるようです。さて、この”触れる”効果をあなたが商売やビジネスで応用するにはどうしたらよいでしょうか?
■接触効果のビジネスでの応用方法
私もよくやっていますが、相手と握手するといったことは相手に”触れる”ための一般的な方法です。
実は私の仕事である講師というのは案外アウェイな仕事です。
たとえば担当者と顔を合わせるのは講演日が初めてになります。その会場に伺うのもその日が初めて。初対面の相手と初めての場所で会ってすぐに信頼関係を築かないと開演までの準備や進行、打ち合わせがスムーズに進まなくなります。
そのため私は初対面の方とは9割方握手をします。タイミングとしては名刺交換をした直後にさっと手を差し出すと、相手も無意識にすぐに手が伸びてきます。
そして握手をした瞬間に
「おっ!」
という表情が顔に現れ、すぐに相手の顔つきが柔らかくなります。
また、私は
「いいネクタイですね。ちょっと拝見してもよろしいですか?」
とさりげなく相手に触れることもあります。
さらにあきらかに相手が年下で設営などを手伝ってくれている若いスタッフの方がいると会話の途中で
「ありがとう」
と、明るく言いながら肩や背をポンっと軽く叩くこともあります。
もちろん、講演会場に早めに来て頂いた方にも
「お早いお越しを頂きありがとうございます。今日はよろしくお願いいたします。どちらからお越しなのですか?」
等と挨拶を交わしながらなやはり握手を行っています。
そこから接触効果を利用して信頼性や好意を形成するわけです。
”触れる”という行為は相手にとても影響を与えるものです。だからアイドルも政治かも握手を大事にするのです。
あなたも親しくなりたいお客様と時には握手をしたり、ポンっと背を叩いてみてはどうでしょう。相手との距離がぐっ!と縮まるはずです。
・・・このような販促、広告、営業、プレゼン、交渉、コミュニケーションに役立つ実践手法を「心理マーケティング100の法則」では100個紹介していますのでよかったらお読みください。