日本全国の工場巡り〜世界が認める大阪のカシミヤ工場〜
こんにちは!ファクトリエ代表の山田(tocio_yama)です。遅くなりましたが、あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願い致します。
ファクトリエは「語れるもので、日々を豊かに」をミッションとしているファッションブランドです。日本各地のこだわりを持った工場と一緒に「良いものを長く着る」をテーマに商品を作っています。
"長く愛用して頂く"ため、
-品質
-シルエットにこだわったデザイン
-適切な修理(交換)
を心がけています。
日本各地の工場へ
さて、日本のアパレル工場は、伝統と洗練された技術によって、世界に誇る高品質な商品を生み出しています。今年は新型コロナも少し落ち着いてきましたので、春から工場訪問を再開しています。4月は秋田、5月は岡山、6月は長崎、7月は石川・富山、8月は熊本、今月は「大阪」です。^^
深喜毛織とは?
今回は、大阪・泉大津市にある深喜毛織(ふかき・けおり)さんに焦点を当て”カシミヤ”の魅力に迫ります。深喜毛織が如何にして世界中で名高い存在となったか、ものづくりのプロセスをたどりながら紐解いていきましょう。これまでファクトリエでは岩手北上にあるUTOさんの”編み”のカシミヤ商品をご紹介してきましたが、今回は”織り”のカシミヤ商品になります。
日本で唯一、CCMIに加盟している毛織物工場
深喜毛織は、日本の毛織物メーカーで唯一、カシミヤ製造業者の国際団体であるCCMI(カシミヤ及びキャメル製造業者協会)に加盟しています。CCMIとは世界のカシミヤ、キャメルヘア、スーパーファイン・ウールの製造業者を代表する国際工業団体で、高級繊維製品の正確な表示を推進し、国際標準に基づく表示規定の啓蒙と不当表示の監視を行っています。
世界でも20社ほどしか加盟できないほど厳格な団体で、国際機関や政府と協力し、国際羊毛繊維機構(IWTO)、国際標準化機構(ISO)などで活動しており、毎年世界の試験機関に獣毛のサンプルを提供し、ラウンド・トライアルを通じて試験能力の向上を支援しています。さらに、新たな繊維鑑別技術の開発を促進し、シンポジウムを通じて試験機関の交流を支援しています。
カシミヤといえば深喜、と長年言われる理由
深喜毛織の製品は、織りにはしっかりとしたカシミヤを用いており、その織り方は他とは一線を画しています。ニットの横編みは緩く、しかし織物なので目付が重い。これは、たくさんのカシミヤを使用してぜいたくな使い方をしている証でもあります。
一般的な安価なカシミヤ製品では、繊維長の短く太いカシミヤが使用されます。これは、17マイクロンという太い繊維では肌触りがちくちくし、ザラザラとした質感になり、毛羽立ちがしやすく、すぐに傷みが生じることがあります。こうした製品では、打ち込みが甘く、速い織機で織ることが一般的です。
一方で、深喜毛織では高品質なカシミヤを使っています。深喜毛織のカシミヤは繊維長が長く、非常に細い(15.8マイクロン)ため、風合いが柔らかく、滑らかな肌触りで、長く愛用いただくことができます。
驚くほどの手間と時間がかかる各工程
深喜毛織の製造プロセスは、まさに職人技の集大成。
これから、その概要を4つの工程に分けて紹介していきますね!
①原毛の染色と乾燥
まず、原毛を釜で染色し、高温の乾毛機(かんもうき)にかけて乾燥させます。まさに最初のこちらの工程で、カシミヤの”色”と”品質”が決まります。
②紡績工場での作業
次に、開毛機(かいもうき)を使用して原毛を繊維にほぐし、オリジナルのバーコレクターでゴミや不純物を取り除きます。原料はバーコレクター3箇所を通り、不純物を取り除かれた後、調合油を付加されます。
原毛をカード機という機械を使ってワタを薄く伸ばし、できた「シノ」に撚りをかけて糸にしていきます。
③染色整理工程
上記のような洗絨(せんじゅう)という工程ではローラーを使って圧力をかけ、縮絨(しゅくじゅう)では熱と圧力で下地をつけ、毛をしっかり揉み込みます。この段階で毛が一部失われるため、実がロスも大きいそうですが、深喜毛織ではその手間を厭わず、品質を保つ工夫を凝らされています。また、同時に湿気でカビが生えないよう、遠心脱水機を使用して乾燥させています。
④起毛工程
最後に、ワイヤーとあざみの起毛機を使用して、製品にふんわりとした質感を与えます。起毛機は6台あり、原料によって長さや硬さが異なるため、使い分けが欠かせません。ひっつきむしのような(植物の)あざみの実でウェーブのようなデザインに起毛させるなんてすごいですよね。
これらの工程において、各段階で時間をかけ、半日から一日のエイジングをすることで、カシミヤに独特の風合いと耐久性を宿しているそう。
急いでしまうと最も重要な品質自体が損なわれる可能性があるため、エイジングの工程も大切にし、完成までを丁寧に見守られていました。
2.古民家のお蕎麦屋さん
最後に、大阪といえば食も魅力の一つですよね。
深喜毛織さんのご近所にある堀田カーペットの堀田さんに連れて行っていただいたのは、古民家風のお蕎麦屋さん(堀田さん、ありがとうございました!!)。こちらの「手打ち蕎麦 繁」さんは、大きな黒塗りの古民家で「食材を生かし、素材を生かす」という理念を掲げているお蕎麦屋さん。食材の持つ味を最大限に引き出すため、無駄のない作業と洗練された技術に注力されているそうです。
蕎麦はシンプルな味わいなので、素材の良し悪しが味に影響を与えますし、蕎麦の素朴な味わいを洗練された仕事で凛としたお蕎麦に仕上げています。
特に蕎麦つゆにおいても、合わせ醤油「かえし」の仕込みから始まり、角をとり厚削りの旨みを「だし」に移す工程まで、丹精込めた手間がかかっているそうです。
さて、いかがでしたでしょうか。今回は以上となります。
この記事を通じて、大阪のものづくり(カシミヤ)と食(お蕎麦)の魅力を感じていただけることを願っております。
最後までありがとうございました!
また日本のどこかでお会いしましょう。^^
山田
《これまでの記事》
1.D2C創業、最初の壁を超えるための5つの基本
2.ものづくりについて
→D2Cブランドの99%はプロダクトで決まる
3.ファンづくりについて
→お客様をファンに変える。熱エネルギー型のブランド論
■ファクトリエ《ベストバイアイテム》
(最後に)
私自身がアトピー性皮膚炎であることから、肌悩みを持つ方向けの商品を開発しています。
現在は主にレディース中心ですが、もし洋服に困っている方がいましたら、ぜひ気軽に私のSNS宛(山田のTwitter)にご連絡ください。繊維の面から情報も記載しています。