肩甲下筋について詳しく・肩の障害
停止部の特徴
上腕骨小結節の付着しているとされていますが、烏口上腕靭帯との関係性上、実際は大結節付近にまで付着しているとされています。
小結節を越えて付着している一つの証拠として
上腕二頭筋長頭繊維との位置関係が挙げられます。
上腕二頭筋長頭繊維は上腕骨大結節と小結節の間に位置する結節間溝に停止部が位置します。
その下に肩甲下筋の組織があると記載のある文献が存在します。
上腕二頭筋長頭が直接上腕骨に擦れてしまわない様、保護していると考えられています。
クッションの役割を肩甲下筋腱が担っているイメージですね。
筋繊維
一つの大きな組織として捉えられますが、実際には1-5ないしは6本の繊維で分けられているそうです。
上部繊維は横走行で付着し、下部繊維は斜め走行で付着していると考えられています。
下部繊維に相当する4-5を切除し経過観察した研究によると、上腕骨180°屈曲時の制限因子が限りなく減少すると結論付けられました。
つまりは斜め走行の下部繊維が屈曲動作時に制限因子になり易い事を証明しています。
リリースする際は特に下方繊維である4-5が大切です。
1-2-3繊維に関しては腱性組織であり回旋鍵板形成を担います。
上肩甲下神経の支配を受けます。
4-5に関しては主に筋性組織であり、上腕骨頭前方へ付着します。
下肩甲下神経に支配されています。
前方関節包に付着しますので、関節包との関係性は勿論、上腕骨を直接押し付け前方突出の抑止力として機能しています。
余談ですが中肩甲下神経は胸背神経であり、広背筋の支配神経になります。
連結
烏口腕筋や上腕二頭筋短頭との接触は非常に強いです。
これら2筋は共同腱として成り立ちます。
これら2筋の滑走性が確保できないと、上腕骨内・外旋の滑走性が損なわれる可能性があります。
また若干ではありますが、三角筋や烏口上腕靭帯との繋がりもあります。
烏口上腕靭帯と言えば五十肩ですよね。
五十肩の方は比較的拘縮しているケースが多いです。
このことからも肩甲下筋が肩関節可動域に大きく関与していることが分かります。
烏口上腕靭帯は肩関節1stポジション+内転にて特に上部が伸張されます。
肩関節屈曲+外旋では烏口上腕靭帯下部や肩甲下筋4-5が伸張される事が分かります。
制限因子になり易い4-5と伸張位が被る事からも、肩関節制限因子になりえそうです。
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