なぜ須賀敦子さんを辿りたいのだろうか(2)
須賀さんの著作からふたつ取り上げ,考えてみたい。
『小さなファデット』と,『クレールという女』。下記に収録される。
須賀敦子著.『遠い朝の本たち』須賀敦子全集第4巻.河出書房新社.2000.7.
1.小さなファデット
ジョルジュサンド著『愛の妖精』に,須賀さんの幼年期が重ねられる。
自然の秘密がわかってしまう不思議なファデットに憧れる須賀さんは,六甲の山で土と花に馴染んで育つ。
原作は,バルボー家の視点で「ものの底まで見通す頭脳」にめぐまれている女性が,愛に目覚め,コ