松下幸之助「わからなければ聞く!」
人間は神様ではないのだから、何もかもが見通しで、何もかもが思いのままで、悩みもなければ憂いもない、そんな具合にはゆかないのである。
悩みもすれば憂いもする。
迷いもする。
わからん、わからん、どうにも判断がつかん、どうにも決心がつかん、そんなことが日常しばしば起こってくる。
碁ならば、わからんままに石を打っても、別に人に迷惑をかけるわけではないけれど、人と人とが互いに密接なつながりを持つこの世の中で、わからんわからんと思い悩んだままで仕事をすすめたら、とんでもない迷惑をヒトに与えてしまう。
わからなければ、人に聞くことである。
己のカラにとじこもらないで、素直に謙虚に人の教えに耳を傾けることである。
それがどんな意見であっても、求める心が切ならば、そのなかから、おのずから得るものがあるはずである。
おたがいに、思い悩み、迷い憂えることを恥じるよりも、いつまでも己のカラにとじこもって、人の教えを請わないことを恥じたいと思うのである。
(参考文献 道をひらく 松下幸之助)
(感想)
なんでもかんでも聞いてくる新人に対して、「一旦自分で調べてそれでもわからなければ聞いてきなさい」と指導したことがある。
しかしその新人は、それまでと変わらず、わからなければすぐに聞いてきた。
本人は「調べた」と言っていたが、あまりにもすぐに聞いてくるので、私はそうは思っていなかった。
しかし、その新人の成長は、他の新人と比べても早かったように思う。
1年間で大きな飛躍を見せ、現在では担当企業からも大変信頼され、売上にも大きく貢献するようになった。
結果この新人の姿勢が正解なのかもしれない。
わからないことを「この先輩に聞いていいのだろうか」「どこまで調べてから聞けばいいのか」「こんなことを聞いたら怒られないか」など思い悩む時間がもったいないし、無駄だ。
人と人が密接につながりを持つこの世の中で、思い悩んだまま仕事をすすめたら、人に迷惑をかけること間違いなし。
わからないことがあれば、すぐに聞こう!