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北欧のジビエ文化から考える狩猟特権
オスロからスウェーデン首都ストックホルムに来た。今回の旅では最後のスカンジナビア半島になる。ここストックホルムでも、日本では考えにくいヘラジカやトナカイ、野鳥なんかのジビエ料理を当たり前のように見かける。たとえば、街のフードコートで普通に「トナカイバーガー」が買えたりするのだ。日本だとジビエって特別メニューみたいなイメージが強いけれど、なんで北欧ではこんなに日常に溶け込んでいるのか。その背景にはどうやら“狩猟特権”から庶民に狩猟が広がった歴史があるらしい。
ヨーロッパでは中世まで、狩猟は王族や貴族だけに許された特権だった。森や野生動物は「王のもの」とされていて、庶民が勝手に狩りをするなんてとんでもない行為。しかし、16世紀以降、宗教改革や王権の弱体化などを経て状況が変わり始める。19世紀になると産業革命で農地が広がり、庶民も山や森にアクセスしやすくなって、一部の特権層だけが楽しんでいた狩猟が徐々に一般化していった。そこに北極圏に近い土地柄が加わって、農耕が厳しい地域ではシカやトナカイを狩るのが貴重なタンパク源確保の手段になった。さらに、先住民族サーミがトナカイを家畜化したり、乾燥や塩漬けといった保存技術を長いこと培っていた影響も大きい。そうした知識が広く取り入れられた結果、食卓にジビエが根付いていったわけだ。
もう一つこれは現地の人から聞いたのだが、、
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