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ペーパーレス化が一向に進まない日系航空会社に強く思うこと

 今年もあっという間に師走の時期がやってきた。今年は最低でも月に5回は飛行機に乗り移動していた。その際に毎回利用しているのがANAなのだが、毎回頭をよぎる疑問がある。なぜ、デジタルチケットを提示しているにもかかわらず、保安検査場前と搭乗前の2回、よく分からない紙切れが手渡されるのだろうか。

 私はその紙を手にすると、すぐにごみ箱へ直行させてしまう。QRコードをスマートフォンでかざし、スムーズに通過するはずの手続きに、なぜ「紙を受け取って捨てる」という手間をわざわざ挟み込む必要があるのかよくわからない。まったくの無駄でしかない。

そもそも、あの紙の発行は、おそらくデジタルチケットを持たず、紙ベースの搭乗券を必要とする利用者に向けた措置なのだろう。しかし、紙媒体の搭乗者が一定数いるとしても、だからといって全員を紙対応に巻き込むのはあまりにも不合理だ。デジタルチケットに対応できない方や、抵抗感のある方々には、デジタル移行を促しつつ、そのためのアシスタントを配置したり、紙媒体利用者専用のゲートを別途設けるなど、個々の状況に応じた柔軟な対応があってもいいはずだ。紙が必要な人は紙を使えばいいが、最初からデジタルで手続きしている者まで一律に「紙切れ」を押し付けられるのは、もはや時代錯誤でしかない。

 実際、世界の主要な海外航空会社や空港では、モバイル搭乗券やアプリ内の機能で手続きが完結するケースが基本だ。年々進むペーパーレス化の波は確実にグローバルスタンダードとなりつつあり、デジタル搭乗券1枚(1画面)でスムーズに乗り継ぎまでこなせる体制が整えられている。にもかかわらず、日系航空会社、特に国内線利用が中心となる場面では、いまだに紙が絡む煩雑な流れが残っている。これは長年の慣習や「形あるものがなければ不安」という固定観念が根強く残っているのかもしれない。しかし、スマートフォンやタブレットが誰しも当たり前のように手にするこの時代、ペーパーレスを躊躇する理由はもはや説得力を欠いている。

 もちろん、すべての利用者がデジタル機器に習熟しているわけではない。高齢者やスマートフォンに慣れない層の利用を無視することはできない。しかし、それは全乗客を一括して紙ベースへ戻す理由にはならない。必要とする層には紙のサポートを、そしてそれが不要な層にはストレスなくペーパーレスで済む選択肢を与えればいい。この仕組みづくりを進めるだけでも、結果的には紙の使用量も減り、無駄な資源を削減し、手続き全体の効率性が高まる。利用者が自分に合った方法でストレスなく搭乗できる環境を整えれば、顧客満足度は向上するはずで、その先にはエコロジーやコスト削減といったプラス面も見えてくる。

 来年こそ、ANAをはじめとした日系航空会社が無用な紙を生み出さないよう改善してくれることを切に願う。私のようなデジタルチケット利用者が、わざわざ手にした紙を即座に捨てるという無意味な行為から解放され、すべてがスムーズな画面操作で済むようにしていただきたい。

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倉岡利樹(Toshiki Kuraoka)
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