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〜まとめ編〜 各地域で計画されている『人中心の道』その場所適しているのか

現在、日本各地域でよく聞く『人中心の街路、街』この計画の可能性について書きます。
東京初め、各地方都市でも計画されていることであるが、人中心の都市や建築で有名な建築家ヤンゲールの書籍を元に書いていきます。

1−1 なぜ人中心が流行っているのか

そもそもなぜこのようなことが行われているのか。以下のようなことが挙げられる。

1、海外の先進事例の真似
 世界各地域でも車線や駐車場を潰して飲食店のテラス席やベンチを配置されるパークレ 
 ットなどが流行している。その成功事例をみて日本でも取り入れようとする動き。
2、環境負荷
 現在の日本は、自動車社会である。このことから自動車の排気ガスにより環境汚染が進  
 み、地球温暖化などに影響している。
3、公共空間の発展
 公共空間の充実により人が集まり、質が上がる。そして地域のコミュニティが促進され 
 る。
4、経済の活性化
 飲食店などの経済を人が歩く空間の創出によって活性化させようという計画。

非常に簡単にあげればこのような理由があると思う。(考え方によれば他にもたくさんある。)

1−2 最近のニュースを見てみよう

①新潟市

②静岡市

③仙台市

検索して、パッと目についたニュースを3つ挙げました。
多分、他の地域もこのようなことをたくさんやっていると思います。このことから、たくさんの地域で人中心の計画が行われていることが確認できます。

1−3 書籍に書かれている人中心と、現在のニュースと合わせてみる

そもそも、計画の目標ににぎわいという単語で終わらせていることに関して下に示す記事で問題視している。悪いというより曖昧であり、薄いといった意見が多くある。

①街路と建築の関連性

上の書籍に書かれている内容から、人間中心の街の考えからを端的にまとめる。

 ヤンゲールは都市のエッジ(縁)について次のようなことが述べられている。
『柔らかいエッジを持った街路は、人々の活動パターンと都市空間の魅力に重要な影響を及ぼす。1階の質が街全体の魅力を大きく作用する。長い閉鎖的な壁、わずかな戸口、無表情なガラス壁は、立ち止まるなと告げているようである。
狭い間口、多くの戸口、垂直に分節されたファサードは歩行空間を濃密にする。1階の活動が、街のアクティビティに重要な影響を及ぼす。(一部変更あり)』

このように、建物の1階部分の重要性について記述されている。
このうえで、街路の人中心の計画において、1階のデザインと機能の重要性が感じられる。例えば、1階に機能が、銀行や不動産など、目的がないと入らない用途のものだったりすると歩く人は退屈してしまうかもしれない。一方、飲食店やカフェ、本屋、マルシェなどフラッと立ち寄れる場所が都市の1階部分に配置されていると、都市を利用する人間にとって、何かあるという気持ちで都市を歩くことができるだろう。

 また、大きさのスケール感も次のように重要だと述べられている。
『残念なことに今でも新しい市街地がスケール感を無視したまま建設されている。空間が多すぎる上に過大で警官は拒絶的であり、使用に適していない。
猫を見てると、良質な場所がどんなものかよくわかる。ある学生が、私にそう話した。猫は戸口に出ると一旦止まり、周りを見渡し誰が見ても最善の場所に向かって注意深く移動し、優雅に体を丸めてうずくまる。街を作る時は、猫のことを考えると人も幸せになれる。これがこの話の教訓である。また、スピードのスケール感も重要であり、時速5キロの建築(スケールが小さい建築)にふさわしい機会を提供できれば歩行者は快適に動き回れる。』

このように、人中心の街は、建物のボリューム、スケール感、スピードのスケール感も重要視しなければならない。
極端な例を例えると、高速道路の真隣を歩くのと、公園を歩くのでは、安心度や快適性、落ち着きが全く違うと言えるだろう。このように、都市にも様々なスケール感を意識していくことが、人中心の街を作る一歩になると考える。

⇧ソフトシティも似たような内容が記述されている。

② 街路の特性

この書籍もヤンゲールが著者である。この書籍には、歩行距離ー物理距離と体感距離という項目があり、そこには次のような記述がされている。

『歩くと疲れる。人が許容できる歩く距離とは、やく400〜500mである。ここの場面では、それに体感距離も大きく左右される。
剥き出しで退屈な通路が真っ直ぐ伸びていても、疲れを感じる。一方、長さが同じでも、経路が何段階にも目に入ってくるところには、距離がずっと短く感じる。例えば、外部の条件が良ければ、街路を少し屈折させることにより空間を閉ざし、歩いていく距離を一目で見渡せないようにするのにも効果がある。』(一部変更あり)

つまり、外部条件が良く、クネクネした道であれば、次の曲がり角では何があるのだろうと気になるような感覚で歩くことができることだと思う。それに加えて、①街路と建築の関係性にも示したスピードのスケール感、ボリュームも意識して計画するとさらに人間中心の都市へと近づくのだろう。

現在ニュースで取り上げられている新潟の場所を確認してみると、、、、

新潟の人中心の計画があるエリア

このように真っ直ぐで広いエリアである。ついでに、1階の機能やスピードのスケールも見てみると、、、、、

オフィス?
銀行系?
あ、飲食店発見したが、周りはオフィス
自動車が多く走る通りである。

結果このような街路であることがわかる。

1−4 まとめ

この通り、現在多発している人中心の都市のニュースは、書籍を読んでいくと、実は、誤った方向に進んでいないかなといった不安が残る内容である。
この人間中心の街路を作るにあたって、大きくて幅員が広い道路より、路地裏や、飲食店が立ち並ぶ商店街などが適しているのではないかと感じる。
計画の目的がどんな場所に作りたいかではなく、どんな場所が適しているのかの議論が重要だと再認識できた。
そして、各地域『人中心の道』に関して、同じようなデザインで同じような手法が用いられている。つまり、成功しても失敗してもどこにでも同じ街ができてしまうと感じる。しかし、商店街や路地裏の個人経営のお店が並ぶ場所では、その地域の色が出せる。現在は、そんな場所でさえ、不必要な再開発で潰されてしまっている現状だ。何が悪いとかダメではなく、都市にとって何が必要で何を計画しなければならないのかを行政や、まちづくり系の民間企業だけでなく、住民や学生なども巻き込んでまちづくりをやりたいなと思った。

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