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編集後記①:コンセプトを決める『Go to Togo 一着の服を旅してつくる』

 『Go to Togo 一着の服を旅してつくる』について、出版社である烽火書房・嶋田くんにも記事を書いてもらうことにした。文字どおり、二人三脚でここまできた。ぼくたちがこの本にどれだけの気持ちを込めたかを記録していきたいと思う。中須と嶋田、29歳。20代のすべてを、この本に詰め込んだ。

 以下、嶋田くんより。

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 第一弾は、コンセプトをつくる、ということについて。中須くんが話をしている記事と関連するかたちで書いていきます。

「本をつくりたい」という話を聞いて、ぼくが考えた末、頭に思い浮かんだのは『保田龍門・保田春彦往復書簡 1958-1965』という本でした。

 この本は、ちょうど展覧会で見た書籍で、もともと知っていたものではなかったけれど、親子が書いた書簡を一冊にまとめた本で、そもそも本の組みとして変わっていた本でした。記憶にある限りでしかないけれど、父の手紙が上部、息子の手紙が下部という具合に、往復する書き手によって、本の本文の位置が変わるという書籍でした。本は通常、マージン(余白)から版面を決めて、文字の入る位置を決めるわけですが、この本だと、父と息子によって位置が変わるために、余計な余白が生まれる=ページ数がたくさん必要。にも関わらず、どちらが主体かによって余白が変わるというリッチな仕様でした。(手紙の受け手の部分は常にまっしろの状態)

 さて、『Go to Togo 一着の服を旅してつくる』にかえってみて、上で紹介した本のコンセプトをアイデアのきっかけにできるんじゃないかと僕は思いました。

 『Go to Togo』では書き手や主体など「ふたつの世界」がキーワードにできそうだなと思ったからです。具体的に言えば、「(創業者の)中須くんと(支える)井上くん」「京都とトーゴ」「職人の汚れた手と営業マンの綺麗なスーツ」「先進国と発展途上国」などです。こうした風に「ふたつの世界」をわかるようにして、一冊の本にできないかというのが、編集者としてのぼくの初期構想でした。どう書き分けるか。たとえば往復書簡のように書き手や内容によって、書く場所をかえることもできそうです。

 最終的に『Go to Togo』は「ふたつの世界」というコンセプトから変わっていきます。当然、最初の時点ではそもそもタイトルも『Go to Togo 一着の服を旅してつくる』ではなかったわけです。ここからどうなるか、それは内容構成時点ではなく、制作を進めていくうえで決まっていきます。

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