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chapter6:装丁『Go to Togo 一着の服を旅してつくる』

 嶋田くんのデザインセンスは、そこらへんの「デザイナー」と呼ばれる人のそれとは一線を画している。そのことが如実にあらわれたのが、表紙のデザインだ。『Go to Togo』の表紙は「ひとふでがき」作家にお願いしたと、嶋田くんから説明を受けた。そして本書の表紙に、なぜ「ひとふでがき」の作品が適しているかということをぼくに話してくれた。それを聞いて、ぼくは嶋田くんのデザインセンスに脱帽した。

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  「現地で撮影した写真を超えることができるか。」

 嶋田くんはズバリ、この作品を表紙に選んだ判断基準を挙げた。本書はぼくの奮闘記で、シューカツをやめて海を渡り、アフリカのトーゴ共和国という馴染みのない国でのラジオ局の番組制作に携わったあと、京都信用金庫に就職し、そこで京都の職人に出会って、アフリカと京都をつなぐ事業をつくりあげていく話をまとめている。そういったものに対して、現地で撮影した写真は、かなり臨場感を伝えられるメディアになりうる。しかし、そこにもし「デザイン」があれば、写真を超えるメッセージを届けることができる。

 ぼくの事業で扱う服は、一本の糸を紡いで作られている。そしてその事業に至るまでのプロセスは、一本の線でつながっている。そのメッセージを伝えるのに、写真よりも「ひとふでがき」のほうが適していると嶋田くんは判断した。ひとふでがきの作品は現地で撮影した写真を超えることができる。ぼくも納得の説明だった。

 その作品をクラフト紙と合わせることによって、ぼくが現地法人を構えるトーゴ共和国のパリメというまちの舗装されていない道の感じ、そしてその道を歩く鮮やかな服を着た人たちを表現してくれた。そんなしっかり「デザイン」された装丁に、ぼくは感服した。そして多くの人に届けたい気持ちを、より強くすることができた。

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中須俊治(アフリカドッグス代表)
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