編集後記②:発明する『Go to Togo 一着の服を旅してつくる』
『Go to Togo 一着の服を旅してつくる』について、出版社である烽火書房・嶋田くんにも記事を書いてもらっている。文字どおり、二人三脚でここまできたから、青山テルマ feat.SoulJaばりのコール&レスポンスをnoteで表現しようとしている。今回はその2回目。前回は驚くほどリアクションがなかった。それでもぼくたちは、アクションを起こすことを恐れない。
以下、嶋田くんより。
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第二弾では、この本に込めた「発明」について書きます。発明というと少し違和感があることばかもしれませんが、わかりやすく言い換えると「アイデアを入れる」ということです。本をつくるうえで、編集者として発明を大事にしたいとぼくは考えています(尊敬する人の影響ですが)。
「中須くん、ちょっと天才的なアイデアを思いついたかもしれん」。
僕たちは月に一度のビデオミーティングをするようにしていて、アイデアを思いついたとき、ぼくはそのように切りだしました。デザインラフなどもつくってみて、その「発明」についておそるおそる中須くんに話してみると、
「天才やん」
と返事がかえってきました。ぼくが自分のことを天才というのはあくまでギャグで、それを天才だとかえしてくれるのもギャグではありますが、この「発明」が二人にとって面白いものだということがわかったのはとても重要な出来事でした。「何か新しいことをやろう」とか「アツい気持ちを本に落とし込みたい」という姿勢が二人に共通していることがはっきりとわかり、単なる仕事相手を超えて、ものづくりを一緒にする関係になれた最初の一歩だったからです。
どんなアイデアか。『Go to Togo』では物語の進行におうじて、トーゴでのエピソードが登場します。それは中須くんの人生のターニングポイントとして、重要なシーンばかりです。そこへは日本から13,000km離れていて、30時間を超える渡航時間がかかる。はじめての土地へ行く不安、ことばも通じないし、文化も違う。病気になった時の対応もわからないし、食べ物だって口にあうかわからない。というか、もしかしたら命の危険にすら晒されるかもしれない。
振る舞いも価値観も180度変わってしまうかのようなトーゴという国での奮闘を、少しでも追体験してもらえる方法はないかと考えました。元々のコンセプトであった「ふたつの世界」というアイデアも踏まえながら、たどり着いたのは
本当に180度、書籍を回転させられないか
というものでした。日本パートは縦書き、トーゴパートは横書き、という構成です。はっきり言ってなんども本を回転させるのは不便です。けれど、トーゴへ行くということのハードルの高さや気持ちが引き締まるような感覚を味わうのに「ちょうどいい不便さ」だと感じました。
「本を反転させる」というアクションが発生する分、読書体験がより鮮明になるのではないかと考えています。当然、本文は全て日本語で記述していますが、日本語は縦書きでトーゴ(フランス語)は横書きという言葉の書き方もこの仕組みの説得力を与えてくれています。
本の回転を通して、一緒にトーゴへ行って欲しい。本が反転しているとき、読者もトーゴへ旅に出て欲しい。そしてその体験が、読み終わったあとも体に残って欲しい。そんな気持ちを込めた「発明」から、本づくりはクライマックスへとなだれ込んで行きます。
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