グルメな夫、機内食で郷愁に浸る
パンデミックの影響で3年ぶりにグルメな夫の故郷、インドネシアに渡航した。インドネシアのバリ島に向かうシンガポール航空の機内で提供された食事はインドネシアのご飯と中華風のお粥のチョイスだった。
インドネシアのご飯を選んだ私たちは驚喜した。ご飯がナシ・リゥワッ(nasi liwetココナッツご飯*)だったからだ。ナシ・リゥワッはグルメな夫の故郷の名物料理である。鶏肉がのっているのは普通だが、トゥリ・カチャン(tri kacang味付け小魚とピーナツ)がのっかっているのは初めて見る。トゥリ・カチャンはグルメな夫が幼少期に常食していたおかずである。
グルメな夫は物も言わずに食べ始めた。間違いなく郷愁に浸っている・・・。いや、サンバル(sambalチリソース)がたっぷりかかっているから、辛味に耐えているのかもしれないが・・・。
グルメな夫の故郷、古都ソロ(正式にはスラカルタ)で食べるナシ・リゥワッは、サンバルではなく、サンバルゴレン(sambalgorengジパン(隼人瓜)と牛の皮下脂肪をココナッツミルクで煮込んだもの、通常激辛)という汁のおかずをかけ、鶏肉とゆで卵を添える。テイクアウトするときはバナナの葉に包んでくれる。それとは少し違っているにせよ、ナシ・リゥワッというだけで気分が高揚する。あぁ、懐かしい味だ・・・。
隣のシンガポール人の若い女性は中華風お粥を食べていたので写真をとらせてもらった。大きなソーセージがのっているが、チキンソーセージである。(豚肉を食べないイスラム教徒も、牛肉を食べないヒンズー教徒も食べられる。)彼女は週末旅行でバリ島に行くところだという。機内はおそらく同じようなシンガポール人でほぼ満席。ASEAN(東南アジア諸国連合)の国どうしはビザがいらないうえ、経済力のあるシンガポールからインドネシアに行けば何もかもが安く感じられる。バリ島は近所に遊びに行く感覚で行けるのだろう。
機内食はプラスチックのお皿ではなく紙箱、プラスチックのカトラリーではなく竹のカトラリーを使い、sustainable(持続可能な)と書かれている。エコに気を使っていることを全面的にアピールするのは、実に今風だ。紙箱のデザインも凝っている。竹のカトラリーは竹を相当に薄くけずったペラペラものだったが、意外にも食べやすく、形もかわいい。すっかり気に入って持ち帰り、インドネシアにいる間使い続けた。
インドネシアの空港では、機内朝食でゴキゲンになっていた私たちに試練が待っていた。インドネシア入国にあたっては新型コロナウィルスワクチンを3回接種していることを証明するアプリ、ペドゥリ・リンドゥギpedulilindungiを提示しなくてはならない。スマートフォンの中にアプリを入れてはきたが、やり方がわからず、おたおた。
入国カードも税関申告カードも廃止され、税関では電子申告のみ。空港スタッフの助けを借りながら入力。取得したQRコードをスマートフォンの画面にだし、QRコード読み取り機にスマートフォンをかざす。
パンデミックの間にインドネシアでは急速にDX(デジタル・トランスフォーメーション)が進んでいたのである。
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