「1960年代東宝青春映画の煌めき」をずっと手元に置いておきたい。僕たちはずっと思っていた。内藤洋子さん、酒井和歌子さんが駆け抜けた1960年代後半の東宝青春映画の瑞々しさは、何十年経っても色褪せない。僕は遅れてきた世代なので、10代の半ばに、テアトル池袋や池袋文芸地下、新宿コマ東宝などのオールナイト上映で観た。恩地日出夫監督の『あこがれ』『伊豆踊子』『めぐりあい』に、10代の時に出会えて良かったと思う。
その恩地日出夫監督による三部作が、ようやく、満を侍して東宝から7月20日にDVDリリース化が決まった。今年1月に逝去された恩地日出夫監督には、1990年代半ばから、トークショーや週刊文春の座談会、映画芸術の座談会、プライベートで、繰り返しこの時代の作品の話を伺ってきた。追悼という形でのリリースは少し切なくもあるが、これで「未見の方」にも、この三部作が届くのが嬉しい。特に『めぐりあい』(1968年)は僕にとってはオールタイムのベスト作品でもある。荒木一郎さんの作曲、谷川俊太郎さん作詞、による主題歌「めぐり逢い」の荒木一郎さん甘く切ない歌声が、和田誠さんデザインのタイトルバックに流れる。この映画の酒井和歌子さんの笑顔の可愛さは日本映画史上最高!かもしれない。
また、内藤洋子さんの『あこがれ』(1966年)は、この「佐藤利明の娯楽映画研究所」でオールタイムでアクセス1位の記事、木下惠介監督による感動のドラマ「記念樹」のエピソードを映画化した作品。映画版がリリースされることでテレビ版とのマルチバースを体感することができる。
同時に、東宝ニューアクションの騎手で、1980年代のテレビアクションドラマを支えていく西村潔監督のデビュー作、黒沢年男さんの『死ぬにはまだ早い』(1969年)、傑作『白昼の襲撃』(1969年)、加山雄三さんのクールアクション『薔薇の標的』(1972年)も初DVD化! 遅すぎるソフト化ではあるが、1969年末の若者たちの閉塞した状況、やり場のない怒り、無軌道に爆発するエネルギーを、クールに描いた西村演出の原点に触れることができる。
恩地日出夫監督作品
『あこがれ』(1966年) 【初 DVD 化】
求めてはいけない愛でしょうか?
孤独を突き破りひたむきに愛に憧れる少女は虹のように美しい
『伊豆の踊子』 (1967年) 【初 DVD 化】
黒目がちの大きな瞳と豊かな髪をもった美しい少女――それが踊子だった
『めぐりあい』(1968年) 【初 DVD 化】
若いあなただけが知る青春の歓びと哀しみ…そして恋のときめき――
西村潔監督作品
『死ぬにはまだ早い』(1969年) 【初 DVD 化】
俺の敵はどこにいる!
狂ったゲバルトに恐怖で凍る 10 人の男女
『白昼の襲撃』(1970年) 【初 DVD 化】
雑踏のなかに光る銃口!
野生の牙をむいた若い狼の群れ!
『薔薇の標的』(1972年) 【初 DVD 化】
正確な狙撃マシンのように男は撃った!
狙撃者の心を甘くかきたてた恋人の額を…
東宝ニューアクション作品・低価格リリース
『狙撃』(1968年・森谷司郎)
『弾痕』(1969年・堀川弘通)
『豹<ジャガー>は走った』(1970年・西村潔)
『野獣狩り』(1973年・須川栄三)
『黄金のパートナー』(1979年・西村潔)