『勇気ある追跡』(1969年・パラマウント)
昨夜の娯楽映画研究所シアター洋画部は、ヘンリー・ハサウェイ監督&ジョン・ウェインの痛快西部劇の傑作”True Grit”『勇気ある追跡』(1969年・パラマウント)を久しぶりに堪能。
ジョン・ウェインがアカデミー主演男優賞、ゴールデングローブ主演男優賞を獲得。アイパッチの連邦保安官・ルースター・コグバーンをダイナミックに演じ、晩年の代表作となった。原作はチャールズ・ポーティーズの小説。
1880年台のアーカンソー州、勝気な少女・マティ・ロス(キム・ダービー)が父・フランク・ロス(ジョン・ピカード)を殺したならずもの・トム・チェイニー(ジェフ・コーリー)への復讐を決意して、連邦保安官のルースター・コグバーン(ウェイン)を50ドルで雇おうとする。酒好きで孤独を愛するコグバーンは、最初、取り合わなかったが、マティの熱意と現金を目の前にして承諾。
若くて野心的なテキサス・レンジャーのラ・ボーフ(グレン・キャンベル)も、トムを逮捕すべく、マティに接近。最初はラ・ボーフに抵抗していたマティだったが、結局、コグバーン、ラ・ボーフと三人で、先住民居留地に逃げ込んだトムの行方を探す旅に出る。
トムのボスに当たるのが、コグバーンの終生のライバル、ネッド・ペッパー(ロバート・デュバル)。今回の本当の敵役は、僕らの世代では「ゴッドファーザー」のトム・ヘイゲンを演じる事になるロバート・デュバル。昨夜の「エル・ドラド」ではのちにソニー役のジェームズ・カーンが出ていたので、ジョン・ウェイン映画にトムもソニーも出ていたことになる(笑)
秋から冬にかけての美しい風景をバックに、ジョン・ウェイン、グレン・キャンベル、キム・ダービーの三人の道行きがユーモラスに描かれる。カントリー・ミュージックのトップスター、グレン・キャンベルがなかなかカッコいい。
そしていよいよ、ペッパー一味と対決へ! 緊迫のクライマックスへと転じていく。そのきっかけが、ペッパー一味のムーン(デニス・ホッパー)と相棒・エメット・クインシー(ジェレミー・スレート)。
コグバーン達が休もうとした小屋で、ペッパーを待っていた二人を締め上げるジョン・ウェインの貫禄。デニス・ホッパーとウェインの対峙シーン。若造とベテランの芝居場は、映画ファンにとっては何よりのご馳走。
クライマックスは危機、また危機。マティがトムとバッタリあって、父の形見の拳銃を発砲。しかしペッパーに囚われてしまう。そこでアイパッチのヒーロー、コグバーンはどうするか? ライバル同士の最後の戦い、さらにはガラガラ蛇の穴にマティが落ちてしまうサスペンス。最後にはラ・ボーフがカッコいいところをさらってくれる。グレン・キャンベルのファンが急増しただろうなぁと思うカッコよさ!
お話がとても良く出来て、直線的な構成のなかに、西部劇の醍醐味があの手この手が詰まっている。2010年には、スティーブン・スピルバーグ製作で、コーエン兄弟によるリメイク『トゥルー・グリット』が作られた。ルースター・コグバーンにはジェフ・ブリッジス、マティ・ロス には、ヘイリー・スタインフェルド、ラ・ボーフは、マット・デイモンが演じていた。
ジョン・ウェインは、1975年『オレゴン魂』で再びルースター・コグバーンを演じている。これも面白かった!
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