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成瀬巳喜男監督未DVD化5作品 2022年10月19日リリース!
このnoteでも詳説を順次UPしている成瀬巳喜男監督の未DVD化5作品が、10月19日、東宝からリリースされることになった。高峰三枝子と上原謙の『妻』(1953年)、香川京子と山村聰、木村功の『杏っ子』(1958年)、成瀬初のカラー東宝スコープ作品『鰯雲』(1958年)、北海道ロケを刊行した感動篇『コタンの口笛』(1959年)、そして待望久し!東京時層探検でもおなじみ”築地川”映画の最高峰、成瀬の子供を見つめる目の優しさ、現実の厳しさを1960年の風景のなかで描いた『秋立ちぬ』(1960年)が初DVD化される。登場人物の心理の綾を、至高の映像表現で描いた成瀬作品。続々とリリースされるのは、本当に嬉しい!
『妻』【初 DVD 化】
美しき妻がありながら
良人は何故他の女を恋したか
中川夫婦は結婚して十年になる。子どもはなかったが、平凡なサラリーマンの夫・十 一(上原謙)と美人で気位の高い妻・美穂子(高峰三枝子)の夫婦生活はしっくりゆ かない。十一は会社のタイピストで未亡人の房子(丹阿弥谷津子)に惹かれてゆく... 『めし』『稲妻』に続く、林芙美子原作の三度目の映画化。波風が立った家庭を中心に 妻の生態を描きながら、妻よりもむしろ女を描くのが狙い。さらに数組の男女関係を 絡ませて、物語の幅を奥深いものとしている。
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『杏っ子』【初 DVD 化】
結婚を通して女の幸福の限界を描く
成瀬芸術の極致
昭和二十二年。高原の避暑地に戦争中から疎開していた作家・平山平四郎(山村聰) は妻と娘・杏子(香川京子)、息子と四人暮らし。杏子にはたびたび縁談が持ち込まれ るが、まとまらない。ある時、知り合いの亮吉(木村功)が、杏子を嫁に欲しいと平四 郎に申し出た...。 第九回読売文学賞を受賞した室生犀星の「杏っ子」を映画化。杏子の侘しくも厳しい 結婚生活と、彼女に無限の慈愛をそそぐ父の暖かい心情を静かなタッチで描いている。
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『鰯雲』【初 DVD 化】
三つの世代の恋と倖せを
温かく捉えた名匠の最高作
農家の未亡人・八重(淡島千景)は、新聞記者・大川(木村功)と知り合った。八重は 兄・和助(中村鴈治郎)の長男・初治(小林桂樹)の嫁候補を大川に紹介してもらう が、和助は初治の婚姻の費用を工面するのに四苦八苦する...。 時代の相違から生まれてくる当主、嫁、姑、息子たちの姿を明るい詩情の中に描き出 す。物語が四季にわたるため前作『杏っ子』の撮影中に二日間、早春のシーンを撮影したという。成瀬巳喜男監督初のカラー、ワイドスクリーン作品。
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『コタンの口笛』【初 DVD 化】
大地に命の根を強く張り
嵐に立つポプラの様な姉弟の姿
北海道千歳の町はずれに暮らす姉弟・マサ(幸田良子)、ユタカ(久保賢)はアイヌだ というだけで、いわれのない嫌がらせを受けるのだった...。 広々とした大自然が物語の背景となるため、北海道での長期ロケを行った作品。千歳 川沿いに作られた村落のオープンセットは、その後撮影所のステージに移築されて撮影が続けられた。貧しい姉弟が逆境と闘いながら精一杯に生きてゆく姿を描く。
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『秋立ちぬ』【初 DVD 化】
夏は短くやさしい少女も今はいない!
二人で遠い海を見た秋風の中の展望台!
小学校六年生の秀男(大沢健三郎)は父親に死なれ、母・茂子(乙羽信子)と、茂子 の兄を頼って東京にやって来た。茂子は宿屋に住み込んで働くことになった。母と会 えず寂しさがつのる秀男は順子(一木双葉)と知り合い、仲良くなってゆく...。 成瀬巳喜男が製作・監督した都会抒情編。秋立つ風の中に体験する都会の子どもの感 傷と哀感がしみじみと描かれている。
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