『怒りの街』(1950年5月14日・東宝=田中プロ・成瀬巳喜男)
久しぶりの成瀬巳喜男研究。8月29日は、『怒りの街』(1950年5月14日・東宝=田中プロ)をスクリーン投影。丹羽文雄の原作を『春の目ざめ』(1947年)の西亀元貞と成瀬が脚色した異色ピカレスクドラマ。キャメラは玉井正夫なので当時の東京風景が楽しめる。音楽は伊福部昭。
戦後5年、かつて学徒動員で駆り出され、死地を彷徨って帰ってきてようやく復学したものの、財閥解体、新体制のなか、親の遺産も奪われ、苦学生となった主人公。知性派の森宗久(宇野重吉)と、生まれながらの二枚目・須