#06 高潮災害のリスクを調べる
高潮とは通常よりも潮位が高くなる状況で、台風だけではなく、発達した低気圧によっても引き起こされます。平成30年の台風21号では関西空港の滑走路が記録的な高潮の影響を受けて水没しました。この記事では高潮による浸水のリスクがある場所の調べ方を確認していきましょう。
この記事は「デジタル防災リテラシー」マガジンのステップ1の記事です。
高潮災害とは
高潮とは通常よりも潮位が高くなる状況です。台風や低気圧の気圧が低いほど潮が高くなり(吸い上げ効果)、吹き寄せる風が強いほど海岸沿いの水面が高くなります(吹き寄せ効果)。吸い上げ効果と吹き寄せ効果により潮の高さが防潮堤などの設備を超えると生活圏に海水が押し寄せ、高潮災害が発生します。
高潮のリスクがある場所の把握には、高潮用のハザードマップを見るか、土地の標高を調べていく方法が考えられます。
高潮ハザードマップ
高潮の危険性がある場合、浸水深の想定などを示した高潮ハザードマップが都道府県などによって作成・公開されていることがあります。「○○都道府県 高潮 浸水想定区域図」というキーワードで高潮用のハザードマップが公開されていないか調べてみてください。
東京都を例にすると、下図のように東京都港湾局のページ(こちら)で浸水想定区域図が公開されています(2020年5月現在)。市区町村のホームページからも高潮ハザードマップを閲覧することができる場合があるので、そのルートでも確認してみると良いでしょう。
東京都の場合は、「想定最大規模」(計算上想定できる最大の規模。いわゆる最悪のケース)を前提とした「浸水深」と「浸水継続時間」の情報があります。下の例は東京都江東区周辺の高潮の浸水深予測です(出典はこちら)。
ハザードマップがない場合は標高を把握
高潮のハザードマップが未作成の場合もあります。その時は自宅の標高を調べておきましょう。標高は国土地理院が公開するサイトで簡単に分かります。下の図(こちら)をクリックしてみてください。開くと東京都が中央に示されます。
地図画面の左下部分に注目いただくと、下のような標高の表示があることに気づきます。この例では標高は「-1.6m」です。
地図上の「+」マークがある場所の標高が示される仕様ですので、地図を調べたい場所に移動させ、その場所の標高を把握しておきます。
浸水範囲や水が溜まっている時間(湛水時間)は標高と関係しているとされています。下図は国土地理院が作成した資料の抜粋で(出典はこちら)、伊勢湾台風による高潮被害と標高の図を並べた物です。
左側の図で色が付いているところは高潮の被害にあった場所を示します。色の違いは浸水時間の違いで、例えば薄い紫色のところは31日〜120日間という長期間に渡って浸水した場所です。右側の図は標高を色別で示したもので、青色は標高0m以下の場所です。右と左の図を見比べると、標高が比較的低いところで高潮による被害が発生したことや、海水面以下の部分(右の青色部分)を中心に長期間水が引かなかったことが分かります。
もし、標高を調べて海水面以下であったり、海水面より上であっても比較的低い場合は、高潮による浸水が発生する可能性があることを念頭に入れておきましょう。
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