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発達障害児の子育て:検査と治療編2

発達障害を持った息子が小学校を卒業しました。そこで、
「発達障害児の子育て:検査と治療編1~4」と
「発達障害児の子育て:中学受験編1~3」
に分けて、私が経験したことを記載します。
なお、イラストは、ChatGPT4(DALL-E)で描いたイラストであり、ここに掲載した複数のイラストの中心の少年は、すべて同一人物をイメージしたものです。


3.WISC-IV知能検査

WISC-IV知能検査1回目

小学校へ入学したとき、発達障害の可能性があることを伝えると、WISC-IV知能検査が行われました。

WISC-IV知能検査の結果(1年生)

検査所見によると、各項目の意味は、以下の通りです。

  • 言語理解:言語的な習得知識や概念、言語的な情報を状況に合わせて推理・思考に応用できる能力です

  • 知覚推理:視覚的な情報を取り込み、各部分を関連付けて全体としてまとめる能力です

  • ワーキングメモリ:注意を持続させ聴覚的な情報を取り込み記憶し、複数の情報を操作する能力です

  • 処理速度:視覚的な情報を素早く正確に識別し処理して、行動に移す能力です

そして、以下のような説明が書いてありました。
見たり聞いたりした事柄をイメージの中で整理したり組み立てたりすることは得意で、一度見たものや聞いたものに関してよく把握しており、臨機応変に対応することもできていました。試行する上でも、細かく分割して考えることや順番にこなしていくという方法を自分で発見し取り組んでいました。
一方で、聴覚情報で概念把握を行うことと視覚情報で概念把握を行うこととに能力の差が見られました。物事を大きく把握する際に、視覚情報を言語的に変換して理解しているように思われます。説明を受けたことでも頭の中で理論的に考え直し、納得してから実行したり、見て分かっているものでも、言語的に変換し直したりしてしまうという特徴があるようです。
また、そのようにじっくり思考するタイプの太郎くんは、より多くのエネルギーを使っていると想像できます。よって、「視覚的な情報を素早く正確に識別し処理して、行動に移す能力」としては平均的な能力の太郎くんにとって「情報の取り入れ方」が非常に重要であり、適切な支援が必要だと思われます。
例えば、作業工程や時間を細かく短く設定してあげたり、考える時間と作業する時間を分けて設定してあげるなど、納得して集中力を持続させやすいような工夫をしてあげると、太郎くんのもともとの資源を利用することができ、太郎くんの能力をより活かすことにつながると思われます。
また、同じ刺激でも視覚刺激よりも聴覚刺激のほうが、同じ無意味情報でも数字よりも平仮名のほうが、受け入れやすく操作しやすいことがうかがえましたので、目で見て分かりやすい情報提示の仕方よりも、耳で聞いて分かりやすい情報提示の仕方を行ってあげると、情報処理の仕方を支持することにつながり、有効に働くかもしれません。
また、この判断結果には、素早く判断して実行すること、素早く見つけることの項目に、「★不得手(書く作業)」との印がありました。

この結果を読んだときの私の感想は、「良くわからない」でした。これが得意なようです、これが苦手のようです、視覚刺激より、聴覚刺激の方が受け入れ安いようです、と書かれても、何をすれば良いのか分かりません。
保育園のころから準備が遅かったりしていたのは、処理速度が遅いからかな、と思いました。しかし、まだ小学校に入ったばかりで、特段、こうしようという思いはありませんでした。また、この頃、病院に行くことやカウンセリングを太郎の母が提案していましたが、私は病院に連れて行くことに反対でした。太郎の母と私では、重要視しているポイントが異なるため、太郎の母が連れて行きたいと思う理由に、私が納得していなかったためです。
後から振り返って読んでみると、情報の取り入れ方を考慮して太郎に合った学習方法を検討したり、不得手な書く作業の訓練をするなど、小学1年生からやっていれば、何か変わったのかもしれません。ただし、この後の太郎の状況を知り、いろんなことを調べた今だから、上のようなことをやった方が良かったと思っていますが、この時点では、太郎の詳しい状況が分からず、私の知識も不足しているため、何もできなくても仕方ない、思っています。

WISC-IV知能検査2回目

小学4年生でも、WISCの試験を受けました。ほぼ同じ結果ですが、少し違うコメントが記載されていました。

一番得意な能力は、言葉で理解し考える力でした。語彙力、概念把握力、説明する力も高いですが、自分の認識や見方のみで物事を理解している、つまり、ひとつの視点でのみ捉えることが多く見受けられました。
次に得意な能力は、視覚的に理解し推理する力でした。言語的な情報から概念を把握する力に比べると、視覚的な情報から概念を把握する力に差はあるようですが、苦手なわけではないようです。
ワーキングメモリは、聴覚的な短期記憶の力でもあり、たくさんの情報を頭の中にとどめておく力です。無意味で単純な情報よりも複雑な情報が含まれるほうが意欲があがり力も発揮できるようです。
太郎くん個人内で苦手な能力は、機械的な単純作業を素早く行う力でした。適確に素早く判断することに加えて書くことが必要になる課題が特に苦手なようです。筆圧が強く、手首を動かして細かい鉛筆先の操作を行うことが難しいようでした。
自信を持たせるためにも、これまでできないと思っていたことができることを実感する必要があり、そのためにも太郎くんの特性に合った指導法、学習法、工夫の仕方を採用することが重要です。

この結果を読んだときも、特段、何かを変えることは考えませんでした。理由は、それ以上に、他の問題(検査と治療編3に記載)を抱えていたことと、大した問題にはならないだろうと思っていたからです。確かに、授業中、ノートを取っていませんでしたが、それは、授業を聞いていないからだと思っていましたし、宿題では、漢字も計算問題も解いていましたので、書くことが苦手ということをあまり重要視していませんでした。
しかし、この重要性に気づいたのは、中学校に入ってからでした。

WISC-IV分析

WISC-IVの診断をきちんと理解しようと、次の本を購入しました。
WISC-IVによる発達障害のアセスメント・・・代表的な指標パターンの解釈と事例紹介(日本文化科学社)

この本に記載されている内容から、太郎の特徴(言語理解が高く、処理速度が低い)に関する説明を抜粋すると以下の通りです。

処理速度が低い子供に対する支援の基本方針:
十分な時間を与え、各負担を減らし、せかさないことである。解答時間を長く与える、書くための時間を十分与える、時間的プレッシャーをかけない、作品の量ではなく質を評価する、ドリルや練習の量を減らすなどである。

言語理解が高く、処理速度が低い子供に対する支援の指針:
「見て考え、書いて答える」活動では、速く正確に作業することが苦手となりやすい。そのため、「聞いて考える、話して答える」活動の機会を多く作り、本人の自己実現を図ることが必要である。

この説明を読んだのは、太郎が小学校を卒業した後でしたが、それまで(小学校に入ってから、4年生まで)にやっていたことは、真逆だと感じました。
学校の宿題というものは、計算のプリントや漢字ノートなど、ほとんどが書いて提出するものです。その宿題をなかなか行わない太郎と、早く終わらせようとする太郎の母との戦いは、毎日のように発生していました。また、字が汚いから、書き直させられることもありました。
その時、ここに記載されている支援の基本方針、「十分な時間を与え、せかさないこと、時間的プレッシャーをかけない」という意識はなかったと思います。また、「「聞いて考える、話して答える」活動の機会を多く作り、本人の自己実現を図ること」ということは、全く行っていませんでした。
しかし、太郎にも問題がありました。勉強が嫌いなので、なかなか宿題を始めないのです。ノートを開いても、別のことを始めて、宿題が始められないことも多々ありました。これも、発達障害の症状の一つだと思います。
もし、4年生に時間を戻せるなら、ここに記載された苦手なことを太郎と話し合い、どのくらい苦手なのか、コンプレックスを持っているのかなどを聞いてみたいです。それを理解した上で、宿題の内容を変えるとか、進め方を変えるなどしたら、宿題を嫌いにならずに済んだのかもしれません。また、特に書くことに対して何かの対策(書く訓練など)をしていれば、太郎の人生が変わったかもしれません。

もう一つ、上記の本に記載されていたこととして、発達障害によく見られるWISC-IVプロフィールという記載があり、太郎のパターンは、ADHD群によく見られるとの記載がありました。
のちの検査で、ADHDという診断が下されるのですが、WISC-IVでも、ADHDの典型的なパターンとして現れていたことになります。

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