女性が生き生き働く会社をつくろう!
米国では企業に提出する履歴書には、性別も年齢も不要である。
特に、米国では定年制度はなく、法律上、年齢に基づく差別を禁じる「高齢者雇用保護法」(Age Discrimination in Employment Act, ADEA)により、40歳以上の労働者を年齢理由で解雇したり、雇用条件を不利にしたりすることは原則として禁止されている。
米国では、日本と違って労働力の多様性への取り組みが進んでいる。
日本の労働市場では、団塊の世代の定年制度による退職によって、労働力が不足し始めている。
これからの時代、日本企業では女性と高齢者の有効活用が、労働力不足を打開するカギとなる。
今回は、女性に生き生き働いてもらうために、企業や上司はどうあるべきかを考えてみたい。
残念ながら、日本の人事部門では旧来の思考から抜け出すことができず、いまだに、若い有能な男性が中途採用のターゲットとなっている。
しかし、労働市場では、若い有能な男性は非常に不足している。
従って、現実の採用では、有能な女性を取るのか、または、並みの男性を取るのかが、問題となる。
私の経験から言えば、仕事を有効に進めるために、私は迷いなく有能な女性を選択する。
職場環境の在り方については、女性や高齢者ばかりでなく、その他外国人などのマイノリティーとっても、基本的には同様の条件が必要である。
ただ、女性労働者には男性と違った条件も必要になる。
男女に限らず、基本的に共通する以下の職場環境の条件がある。
1. 職務内容が明確である
2. 個人の技術や能力に適合した仕事のスケジュールや目標が設定されている
3. 業務の遂行に必要なヒト・モノ・カネ・知識/情報などの経営資源が提供されている
4. 必要とする時には上司や同僚からの支援が得られる
5. 物理的職場環境が安全であり、清潔であり、さらに、健康的である
6. 仕事の結果が明示的に認識され、公正な評価が受けられる
7. 受取る給与や報酬は他と比べて公平である
しかし、さらに女性にはその特性から、男性と比べて異なった条件や配慮が必要となる。
1. 女性の重要なライフイベントである、出産と育児に対して手厚い配慮が必要となる
2. 女性は男性よりはるかに生真面目に、かつ、一生懸命に仕事をしようとするため、仕事の範囲、目標、やり方について、女性が迷いないようにしなければならない。
そのためには、仕事内容を非常にはっきり、また、具体的に定義したり、仕事をやり遂げるのに必要とする時間をお相に確認して期限を設定したりする。
やるべきことをはっきり理解していれば、女性はきっちりと緻密な仕事をしてくれる。
3. 女性はとても感情を重視するため、常に気持ちよく働けるような精神的な環境を整備しなければならない
そのためには、暖かな感情交流が必要である。
これら女性が生き生き働ける職場条件の整備には、経営者の明確な方針と職場の上司の力量が必要である。
最初に、経営者が人事部に対して、性別に関係なく有能な人材を採用し、能力を発揮してもらおうという明確なメッセージを発信しなければならない。
職場では、上司が女性に固有の身体的特性を理解した上で、さらに、人類という種に重要な女性のライフイベントを積極的に支援していこうという姿勢が重要になる。
最近は男性も育児に積極的に関与し始めているが、母親ならではの役割がある。
女性が生き生き活躍できる企業や職場とは、経営者や中間管理職を始めとして、組織のすべてに人々が、女性を含めて、他者への尊敬といたわりをもっている企業や職場である。
今、企業では、サステナビリティをキーワードに、SDGsやESGの取り組みが活発化している。
それらの取り組みの原点には、他者への尊敬といたわりがある。