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エリート財務官僚における日本貧困化行動の動機づけメカニズム

国民民主党の躍進と自由民主党の退潮によって、日本凋落30年の戦犯は財務官僚にあることが白日の下にさらされることになった。
国民民主党が提唱する103万円の壁撤廃に対して、財務省、並びに、財務官僚出身の自民党税制会長が猛反発している。
実質賃金が上がらない上に物価上昇に苦しむ国民には、国民生活を悪化させているのが財務省であることがばれてしまった。
 
財務省は、この30年間、財政均衡を金科玉条に、BPバランス均衡と国債残高の縮減に向けて、政治家を説得し、御用学者を使い、マスコミを利用して財政破綻の恐怖を煽り、国民を洗脳してきた。
財務省は財政均衡と国債残高削減を目指して、消費税増税により国民から金を搾り取り続けた。
そのため、消費を低迷させ、かつ、デフレ経済脱却を目指した政府による財政支出をも妨害した。
日本経済は、効需要が低下し、また、民間の設備投資や政府投資が低迷することよって、経済成長が阻まれてきた。
 
家計では単年度の収支均衡は必然だが、政府では単年度の財政均衡には必然性がない。
家計はお金を作り出すことはできないが、政府は貨幣を作り出すことができるからである。
家計の収支と政府の収支を同一視してしまうと、政府の経済政策に問題が起こる。
政府には通貨発行権があり、それを基に財政を運営する。
まず、政府は通貨を刷って支出に充て、後に税金として発行した通貨を回収する。
実務的には、通貨の発行は日本銀行であり、政府は通貨を得るために国債を発行する。
政府と日銀を合わせて統合政府としてみると、政府が通貨を発行していることになる。
国債と通貨という形は違うが、両者とも政府の負債である。
政府の負債は、後に税金として回収される。
 
税金は統合政府の発行した通貨の回収手段であり、一般的に言われる財源ではない。
財源は政府の発行する国債である。
日銀は、現在、国債残高の半分を所有している。
残りの国債の所有者は、4割は銀行、生命保険会社、年金などの日本の金融機関であり、7%程度が外国の保有者、2%程度が個人所有者である。
統合政府として、国債発行残高を日銀保有の国債と相殺すると、正味の国債残高はほぼ日本のGDPと同等となる。
この程度の国債発行残高であれば、諸外国と比べて多いとは言えない。
財務省が財政危機を煽る根拠とはならない。
財務省は財政均衡を建前として、増税と財政出動の妨害によって日本の経済成長を妨害し、日本の貧困化を推し進めてきたのである。
 
財務省には、金融政策、国税、予算編成などがあるが、本質的な仕事としては、簡単に言えば金庫番だけである。
欧米のように、本来、国税は社会保険料の徴収と一緒に歳入庁によって、予算編成は政府主導で内閣府によって行われるべきである。
結局残りは、金融政策だけとなる。
 
財務省官僚は自らを富士山に例えて、最高峰の官僚と自負している。
それを担保するものが、権力の発現場である予算編成と、威嚇手段としての国税調査である。
 
日本貧困化の指揮を執ったのがエリート財務官僚である。
彼らの日本貧困化という亡国行動を推し進めた動機づけはいかなるものか?
 
動機づけには、行動を起こす原因となる「動因」と行動内容となる「誘因」の、二つの要素が存在する。
動因は人に加えられた刺激であり、その刺激に反応して誘因である特定の行動が採られる。
エリート財務官僚の動因は、抽象的には財務省という官庁の仕事を行う目的であり、また、具体的には上司からの個々の指示である。
仕事の目的や上司の指示に対して、自分にとって最も利得をもたらす行動を選択する。
エリート財務官僚の誘因は、自分の出世であり、出世するための最適行動を選択する。
財務省での出世は、金庫番の目的としての財政均衡、すなわち、増税によるPBバランス達成と国債の削減である。
 
彼らは国家や国民のために仕事をしているのでなく、自分の出世のために仕事をしており、増税によって国民を痛めつけている。
1月後半から予算編成のための国会が始まる。
財務省は、国会議員、マスコミ、御用学者などを使って、103万円壁をできるだけ低く維持しようとしている。
エリート財務官僚は試験エリートかもしれないが、国家運営を任せられるような真の国家エリートとは言えない。
自分の出世のために、国民や国家を犠牲にするあわれな者たちなのである。

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