【イギリス生活】日本のサブカルの底力を感じたエピソード5選
こんにちは。
お読みいただきありがとうございます。
ぼくは、2022‐23年にキングス・カレッジ・ロンドンのロースクール(LLM)に通っていました。現在もロンドンに暮らしていて、滞在歴は1.5年ほどになりました。
これまでの【イギリス生活】では、衣・食・住について書いてきました。今回は趣向を変えて、イギリスの大学院生活の中で実感した日本のサブカルチャーの人気について、いくつかのエピソードを交えて書きていきたいと思います。
1.街中の至るところで見かける"Pokémon"
イギリスでもポケモンは子供たちに人気です。
街中を歩いているとポケモンのグッズを持った子供たちをよく見かけます。ピカチュウだけではなく、最新作の御三家のTシャツを着ている子供もいて、その浸透っぷりが伺えます。
また、夕方には、日本で放送されているのと同じ内容のポケモンのアニメが放送されています。OPは、英語のよく知らない歌手が歌っていました。
日本の子供たちが、ディズニーに親しんでいるのと同じように、イギリスの子供たちも日常的にポケモンのコンテンツに触れています。
また、子供たちだけではなく大人にも人気で、ブイズのぬいぐるみ全種をリュックサックに付けた、「かいじゅうマニア」っぽい風貌の男性を、ぼくの最寄り駅でよく見かけます。
ぼくは、ポケモン第一世代の人間で、ちょうど小学校のときにポケモン赤・緑が出て熱中していた世代ですので、イギリスでもポケモンが人気なのは、やっぱり嬉しいですね。
2.輪るピングドラムを待ち受けにしている中国人
ぼくは、ロースクール入学前にプレセッショナル・コースと呼ばれる準備コースに通っていました。グループワークの際に、隣に座った中国人のスマホの画面をちらっと見ると、なんだかカラフルでポップです。
よく見ると、少し昔のアニメ『輪るピングドラム』の画像でした。
ググって調べたら、もう10年前の放送なんですね。
その彼は中国の大学を卒業してそのままKCLに来たと言っていたので、年齢は22‐3歳だと思います。「それ、日本のアニメだよね」とぼくが話しかけると、嬉しそうに話してくれました。
彼は、大学生の時に日本のアニメをずっと見ており、その頃に幾原邦彦さんの作品を全部を見たそうです。中国では新卒市場が悲惨な状況なので、大学生は必死に勉強していると聞いていましたが、彼曰く人によるそうです。案外、ぼくたち日本の大学生と変わらない生活をしているのかも知れません。
ちなみ、ぼくが「このアニメ、最後まで観て意味わかった?」と訊いたところ、彼は「よくわからないね」と笑っていました。
3.Amazing New "Soulslike"と宣伝されるゲーム
イギリスでは、日本のゲームも人気です。
大学の最寄り駅の広告で、とあるゲームが、「これは、新たな最高の"Soulslike"だ!」とデカデカと宣伝されていました。
このソウルズライクとは、日本のゲーム会社フロムソフトウェアが開発した『ダークソウルズ』シリーズのようなゲーム、という意味だと思います。
ぼくは、プレイしたことがないのですが、後続のシリーズ含めて熱狂的なファンがいる印象です。
ぼくが広告を見たのはもう一昨年のことで、写真も残っておらず、どのゲームか分かりません。ただ、ネットで調べてみると、イギリスの大衆紙「Sun」が、また別のソウルズライクゲームの宣伝記事を書いていました。
ソウルズライクの一言で通じるほど、知る人ぞ知る日本のゲームがイギリスにも浸透しているのは、嬉しいですね。
4.浦澤直樹マニアのベルギー人
ロースクールの授業では、大講義室での授業のほかにTutorialと呼ばれる少人数のソクラテスメソッド的なクラスがあります。
そこで隣に座ったカフェとか好きそうな気取った感じの(偏見ですが)女性が村上春樹の本を読んでいたので話しかけると、彼女は村上春樹の小説も好きだけど、日本の漫画がもっと好きなようで、特に浦沢直樹さんの大ファンでした。
彼女はベルギー人で、フランス語ネイティブということを会話の中で知ったのですが、20世紀少年やMonsterは、仏語訳されていて、とても人気だと言っていました。
たまたま家が同じ方角だったので、授業のあと途中まで一緒に帰ったのですが、ぼくが20世紀少年を最後まで読んでいないことを知ると、ずっとストーリーの解説をしてくれました。マニアが好きなことについ饒舌になってしまうのは、世界共通の理だと知りました。
NetflixでやっているPlutoが面白いらしいですね。
5.おにまいをリアルタイムで追っていたインド人
多くのイギリスの大学院では、リーディングウィークと呼ばれる授業が休講となる週が設けられています。この期間を使って読めていなかった論文を読んだり、知識を深めたりするわけです。
とはいえ、リーディングウィークを本来の主旨どおりに過ごす学生は少数派で、ほとんどはバカンスに勤しみます。そのため、リーディングウィーク明けの授業では、「先週何してた?」という会話が定番になります。
Term 2のとあるモジュールを一緒に受講していたインド人の友人は、「観れずにたまっていた今季のアニメを見て過ごした」と言っていました。
その中でも、『お兄ちゃんはおしまい!』が良かったそうです。
この「おにまい」ですが、日本のサブカルチャーに浸かっていると、すんなり受け入れられる設定ではあるものの、インド人の感覚ではどうなのかなと思い聞いてみたら、「日本のアニメを見まくっているから違和感は全く感じない」と心なしかドヤ顔で言い切っていました。
まとめ
いかがだったでしょうか。
イギリスに住む人たちも、日本人とかなり近い解像度で、日本のアニメ・ゲーム・漫画を楽しんでいることが分かって頂ければよいなと思い、ぼくが体験したいくつかのエピソードを書かせて頂きました。
ポケモンのようなお天道様の下でも恥ずかしくない王道コンテンツが子供たちに人気なのはもちろんのこと、深夜アニメなどのディープなところまで、日本のサブカルコンテンツは浸透しています。
イギリスで暮らすために、これらの文化にわざわざ詳しくなる必要はないですが、もしご自身もアニメ・ゲーム・漫画が好きなら、きっとこちらでも同じ趣味の話題で盛り上がれる機会があるはずです。
ただ、一つ思ったのは、ここで挙げた中国人も、インド人も、違法な形でコンテンツを楽しんでいる可能性があるんじゃないかなということです。(本人たちにはそこまで突っ込んで聞いていませんが。)
ぼくは、アニメ・ゲーム・漫画のようなアングラだからこそ味がある文化をわざわざ国家がバックアップしてサポートすることには違和感を覚えるのですが、それでも、イギリスを含む世界での日本のコンテンツの人気が、きちんと制作者に還元されるような仕組みになれば良いなと思っています。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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