音楽家と歴史・社会 -30: モーツァルトのピアノ協奏曲
主にクラシック音楽に係る歴史、社会等について、書いています。
今回は、神が作ったと喩えられそうな、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの27のピアノ協奏曲についてです♪
中学生1年の時に、FM放送で聴いたピアノ協奏曲第21番ハ長調 K. 467は「みじかくも美しく燃え」と題されていた。スウェーデンの恋愛映画のBGMとして有名になった第2楽章アンダンテヘ長調が、ポピュラー風にアレンジされていた。
その後、全曲を聴いたところ、第1楽章ハ長調アレグロ・マエストーソも素晴らしい。明るい第1主題の後に出てくるト短調のメロディは、交響曲第40番第1楽章の主題となったもの。大人になってからこそ、真髄がわかる名曲だ。
ただ、最も人口に膾炙しているのは、モーツァルトが初めて手掛けた短調の第20番K. 466のようだ。ニ短調の悲しい旋律から始まる第1楽章アレグロは、激しい情熱、居た堪れない不安感を表す。全曲を通した激しい展開は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンを魅了していたらしい。
モーツァルトは、1781年、雇ってくれていたザルツブルク大司教のヒエロニュムス・コロレド伯との関係が悪化し、ウィーンに出て、自由な音楽家として活躍することになった。
生活の糧は、ハプスブルク家に繋がる貴族達の社交界における演奏会。この時代、第11〜27番のピアノ協奏曲を作曲した。第20番は、1784年から1786年の間に書き上げられたと考えられる。
1842年9月4日、ザルツブルクのミヒャエル広場に、モーツァルトの記念像が建立された際、モーツァルトの息子フランツ・クサーヴァーが第20番を演奏した。
クラシック音楽界で常に愛されて来た本曲の第2楽章は、1984年の映画「アマデウス」のエンディングに使われ、メロディの美しさが世界中に知れ渡った。
さて、今日、私は東京都北区の某アマチュア室内楽を楽しんだのだが、メインは第23番イ長調 K. 488 だった。
1786年3月2日にウィーンで完成されたとされる第23番は、とにかくメロディが多彩で美しい。第2楽章アダージョ嬰ヘ短調を聴いて、涙が出て来た。
第20番と第23番のどちらかが、27のピアノ協奏曲の最上位に位置づけられると考えられる。
音楽評論家の飯尾洋一氏によると、レコーディング数ランキングは、以下の通り。
1位: 第20番ニ短調 139回
2位: 第23番イ長調 126回
3位: 第21番ハ長調 118回
4位: 第27番変ロ長調 96回
5位: 第24番ハ短調 93回
このうち、27曲中で2つしかない単調の協奏曲が1〜5位にランクインしているのが、興味深い。
正直に書くと、全曲は聴いていないし、有名な曲であっても、楽章の順番等は覚えていない。
長い人生の終わりまでには、この短命の天才に敬意を表して、全てを拝聴するとともに、何曲かは、自身でソロを弾いてみたいと思うこの頃である。
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