事業戦略大学(教員1名、生徒無限大) 第4回「真の競合とは何か」を考える「考え抜くための戦略フレームワーク入門」コース
まず読む前に、大きな声を出して、質問に答えましょう。読んだ内容が身体に染み、時間とともに効果が表れます。
設問1:あなたが関係する企業の競合をできるだけ多くあげ、特性別に分類してみてください。
設問2:あなたが関連する企業にとって競合企業は存在したほうが良いですか?その理由はどのようなものですか。
設問3:競合分析をするとしたら競合のどんな情報を集めますか。
■競合とは何か
今日的な事業戦略においては、顧客の捉え方と同じように、競合の捉え方も大きく変化している。ライバルは、コア・コンピタンスが異なれば、顧客になり得るだけでなくサプライヤーにもなる。それは一般的にはOEM供給・調達という言い方で表現される。また競合は、製品の方式を標準化し普及率を高めることなどを通じて、市場を成長させる重要なパートナーになる。製造や物流などの機能統合、さらに経営統合までもあり得る。同じ業界の中でも共生は可能である。
一方で、これまで競合と思われなかったところが競合になり得ることも多い。前にも取り上げたように、顧客が競合になったり、情報産業、金融業界なども競合となり得る。さらに、顧客の価値を奪うのは同業界の会社だけではない。全く違う業界に、自分の業界全体が奪われてしまうこともある。食品業界にとっては、ダイエットのための機器やサプリメントがライバルであったり、カラオケボックスのライバルが携帯電話だったりする。
このように我々は、競合に関する見方を変える必要がある。
顧客分析と同じように、ここで″競合とは何か″を改めて問い直す必要がある。事業戦略の視点から競合を定義し直してみると、主に以下の5項目のように表現できる。
①顧客の価値を奪い合い、自社の「付加価値」を下げるところ
②自社とともに市場を形成することろ
③顧客以外で、市場全体に大きな影響力を持つところ
④顧客の問題解決やビジョン達成に対し同じような知識や能力で解決策を提案できる可能性のあるところ
⑤自社の利益率や資産価値を減少させる可能性があるところ
さて、競合と想定される対象を見つけることができたら、競合の何を分析すべきであろうか。競合の現在の商品・サービスだけに目を奪われてはならない。そこでまず、競合の将来の戦略と現在のポテンシヤリテイを把握する必要がある。そして、競合のビジネスモデル、業界レベル、さらに業界を超えたビジネススキーム(ネットワーク構造)を把握すべきである。競合の分析としては、つまり競合の企業や商品・サービスを超えた、差別化のネットワーク構造であるビジネスモデルやビジネススキームまでも把握しなければならない。今日の市場でのリーダーシップは、商品・サービス単体だけではなく、企業を取り巻くネットワーク構造にあるためである。