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「なぜ」 「どうやって」 本の感想を書くのか

この記事は「積読チャンネル非公式 Advent Calendar 2024」の11日目の記事です。昨日の記事はとりんぷさんの「12月10日のはなし」です。明日の記事はめーめーさんの「斎藤 光 「幻の『カフェー』時代 夜の京都のモダニズム」です。

0. はじめに


 僕は、本の感想を書くのが苦手だった。


中一の夏、東野圭吾の『手紙』を読んだ。その本があまりにも当時にとって面白く、夏休みの宿題であった読書感想文を書いた。


僕は自分の気持ちを作文に勢いのまま書き殴った。自分の気持ちが書けたと自信満々に思い、母親にその感想文を見せた。


しかし、母親は書き殴った支離滅裂な感想文を読んで大笑いした。今思うと母親は悪気がないと分かるが、その時、自分の感動した気持ちが伝わらなかったことにショックを受けた。


それから書くことに苦手意識を持つようになり、そのまま中高生を過ごした。


そして、大学生で本にハマり積読チャンネルに出会った。動画を見て、自分にとって衝撃的だった。

こんな上手く本の感想を、言語化できるのか、本を読んでいないのに自分も感動したのだ。それからずっと積読チャンネルが更新されることが楽しみになった。


積読サロンに入って、本の感想を書くことをまた始めた。

あの時傷ついた自分を救うために。過去に向き合うために。

そして、何度も挫折しながら、なんとなく自分なりの書き方が出来上がった気がした。


これから「なぜ書くのか」「どうやって書くのか」を軸に自分なりの本の感想の書きかたを説明したい。

書くことのモチベーションを明確にすればモチベーションは上がるので、この問いは非常に重要である。
 
また、書くことを実行するときに障害として何があるのか、その対策は何があるかという問いで書くことの能力を上げることができる。


あのとき、自分の書くことの才能のなさに苦しんだ自分に向けて書いた。もし同じく書くことが苦手な人にも読んでくれると嬉しい。



1. なぜ書くのか

Ⅰ . 書くのは誰かに伝えたいから

 
 なぜ書くのか。それ「自分の気持ちを人に伝えて、共感してほしいから」である。僕も本の感想を書くのは、その本に興味をもって読んで共感してもらいたいからだ。積読チャンネルでも紹介された『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』では

何かを伝えたいのは食事や睡眠と一緒にで人間の欲求のひとつだと僕は思います。自分に何か大きな出来事があったらそれを誰かに伝えたいんです。伝えるというのはコミュニケーションです。

うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真 p. 43


確かに自分の気持ちを誰かに共感したときに、嬉しく思う。積読サロンで本の感想を投稿すると、みんなリアクションしてくれる。それを見ると、自分のこころが満たされるのだ。

よく積読チャンネルで飯田さんが説明して、堀本さんが「これ、面白いぞ!」とか「めっちゃわかる!」と感動して共感している。僕はそれを見て、そんな反応してくれる相手がいるのうらやましい〜と思う。それくらい、伝えて共感させたいことは大きな欲求だ。

「あ〜、めっちゃ分かる」の顔。こんな顔をしてくれる聞き手がほしい。


Ⅱ .文章が他人の行動を変える

 さらに、なぜ書く共感してもらうだけではない。『嫌われる勇気』を手がけたライターである古賀史健さんは、いい文章をこう定義している。

「いい文章」とは「読者の心を動かし、その行動までも動かすような文章」のことである。

20歳の自分に受けさせたい文章講義 p. 268 


自分の文章が人の心を満たすのではなく、その本を買ってくれるともっと嬉しくなる。行動が何よりの共感を表現しているのだ。


僕自身、そんな文章を書いてみたかった。飯田さんのように、人に本を勧めて、それを面白いと言ってくれて、さらに本を買ってくれることを僕もしてみたかった。


だから、自分で書いた文章がどんなに支離滅裂でこんなに下手なのかと自分自身に失望して、しばらく書かなくなっても、やっぱり書きたくなってしまう。


誰かに伝えるのは大きな欲求で、それに共感してくれる人がいたらどんなに嬉しいか。それにわざわざコメントを書いてくれる人がいたら、どんなに心が満たされるのか。これを求めて、僕は書き続ける。


2. どうやって書くのか


Ⅰ. 「書こうとしても手が止まってしまう」「書くこと自体、めんどくさい」


 ただ「自分の気持ちを人に伝えて共感してほしいから」といって、本の感想が書けるのかというとそんな単純な話ではない。
問題は二つある。「書こうとしても手が止まってしまう」「書くこと自体、めんどくさい」だ。
 

 いざ本の感想を書こうとしてもどこから何を書けばいいのか、分からなくなる。ちょっと書いて消すの繰り返しになってしまう。

そもそも読むのだけでもめんどくさいのに、それをメモ帳に書いたりするのがめんどくさい。だったら、youtubeやX見たほうが楽だ。これらの問題を解決するための方法論について書く。


Ⅱ. 書くことを有限化する


 まず、書くことを有限化することである。自由であることが必ずしも良いことであるとは限らない。
例えば、いざ真っ白なキャンパスを与えられて「自由に書いてください!」と言われても、僕たちは途方に暮れてしまう。

自由すぎて逆に不自由に感じてしまうのである。そこで必要になるのが、条件を自分で設定して有限化することである。


本の感想を書くときに、自分が面白かったポイントを一つだけに絞って書くだけでも、かなり書きやすくなる。また、自分でプロットを設定するのも有限化の一つである。

例えば、人文書の場合「自分が思い込んでいたこと+本の内容+それによって自分の思いこみがこう変化した」の順で書く。
小説だと「自分が面白いと思った場面やシーンの説明(客観)+そこからどう感じたのか(主観)」という順で書くようにしている。

このように、感想を書くときにプロットや何を書かないかを決めるだけでも書きやすくなる。


Ⅲ.書く環境をデザインする


 次に、書くこと自体めんどくさいという問題は書くことをどう解決するのか。それは、何回も書いて習慣のように無意識にできるようになるしかない。だが、わざわざ書くぞと意気こんでやっても、そのうちやる気がなくなってしまい、書くことは自分に向いてなかったと絶望してしまう。


これを防ぐためには、書くことを簡単に実行できるようにすることだ。そうすれば、別にやる気がそこまでなくても「ちょっとやってみるかー」と書いてみる。

すると、意外とスルスルと書けるのだ。これをくり返すと、書くことの苦手意識がどんどんなくなる。なので、書くことを簡単にするために書く環境をデザインしてみよう

僕の場合だと、まず本の感想は全部スマホで書くようにしている。下書きはこのbearというメモアプリが便利で、そこに書いて積読サロンにコピペしている。


『勉強の哲学』全然気が向かくて、ずっと放置している。いつか書く。


こたつでダラダラしていてちょっと書いてみるかーと少しでも気が向いたら、すぐに書けるように環境を作ったほうがいい。
人間は気まぐれで、すぐに気が変わってやる気がなくなる。また、新しく書くツールを導入するとテンションが上がるのでぜひやってみてほしい。


また、本の感想を書くときに積読サロンというコミュニティがおすすめだ。ここに投稿するだけで、みんなからリアクションをもらえる。

読み終わった本のスレッドから。色んなリアクションがあって嬉しい。


人は伝えて共感してもらえるのが書くことの大きなモチベーションだから、書くことが続けやすくなる。また、他の人からも本を勧めてくれるので、本の情報も収集できる。

(それで情報過多になって積読が増えていき、
積読サロンって「積読を消すコミュニティ」じゃなくて「積読を増やすコミュニティ」なんだと気づく。)


書く時間は、基本暇になった時だ。移動時間などスキマ時間に、ちょっと書いてみようか〜と気楽に書いている。ダラダラしてスマホをいじっている時でも、書くことはよくある。


とにかく「書くぞ!」と気合いを入れた時ではなく、ちょっと書いてみるか〜と気楽にやることが大事なのだ。
そのために、書く環境をデザインすることは有効である。


3. 終わりに 挫折をくり返して、書く量を増やす


 ここまで、本の感想を書くことのモチベーションは何なのかを説明し、書くことの能力の問題を挙げてそれに対して解決策を提示した。


だが、書くことの上達の近道は、結局たくさん読んでたくさん書くことだ。量を増やしてから質を高めることが何よりも大事なのだ。
だが量を増やそうとしても、自分の文章を自己検閲して質のハードルを上げてしまい、書くことがますます嫌になってしまう。

確認するべきなのが、書くことはまず気が向いたときにやることが大前提である。なので、本の感想をまったく書かなくても自分を責める必要はない。
とにかく書く量を増やすことが、自分の苦手意識を薄くする最適な方法なのだ。


僕も今までこんな自信満々に書いているが、書くのはやっぱりめんどくさいと感じて、この記事も前日に必死こいて書いている。けど、どこかで気が向いてまた書きたいと思ったら、本の感想をまた書けばいい。


書くことは挫折の繰り返しなのだ。

 


 ここまで長々つきあってくださりありがとうございます。もしよかったら、ぜひこの記事の感想を書いていただけるとすごく喜びます。この記事も自分なりの感想の書き方を伝えたいモチベーションで書いているので、ぜひお願いします。

これを読んでくれた人が書くことの苦手意識が少しでもなくなりますように。


4. 参考文献

・20歳の自分に受けさせたい文章講義 (古賀史健 星海社)


・ライティングの哲学 (千葉雅也,読書猿,山内朋樹,瀬下翔太 星海社) 


・うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真 (幡野広志 ポプラ社)


・勉強の哲学 (千葉雅也 文藝春秋)


・習慣超大全(BJフォッグ著,須川綾子訳 ダイヤモンド社)

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