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『一斉授業をハックする』から⑥
一つの授業の中に複数のコーナーを設け、複数の学習が同時進行で進行するように教室を設計する。その発想が「学習センター」だ。そこでは、生徒からの学習内容や学習方法に関する提案を積極的に取り入れることが目指されている。そして、各生徒がどれぐらい学習センターづくりに貢献したかを自己評価するようにしている。たとえば生徒対象で次のようなアンケートが行われている。(以下、本書106~112ページから引用。一部訳語を改めたところがある。)
質問 コーナーの活動や新しいコーナーを提案したことはありますか。(選択式)
質問 あなたが提案した活動は採用されましたか? その活動はどのようなものでしたか? あるいは、どのようにいかされたのか説明してください。(自由記述)
質問 学習センターに追加したい活動は何ですか?(自由記述)
質問 新しいコーナーを提案し、それが実現したのを見たとき、どのように感じましたか? それはイメージどおりでしたか?(自由記述)
質問 新しいコーナーを新しく考えるとしたら?(自由記述)
質問 いまあるコーナーの活動をチームで開発するとしたら、どのコーナーを担当したいですか?(選択式)
質問 「秘密の読書コーナー」で脚本を読むという活動が提案されました。四つの脚本のうち、クラス全体で読みたいのはどれですか?(選択式)
質問 もっと本を読んで調べたいと思うテーマを教えてください。(選択式)
質問 そのテーマを選んだ理由を具体的に教えてください。
*
これらの質問を見ていると学習センターの設計についていろいろと気づかされる点が多い。それはまた別の記事で書くとして、ここで大切なことはおそらく次のことだ。――これらの質問をメタに言い換えると、「あなたのカリキュラムづくりへの貢献度は、どれくらいですか?」というふうに。貢献度は成果主義的な用語のようにも読めるから少し嫌気がさしてしまう。少なくとも私はそう感じるのだが、イメージしやすいので貢献度としてみただけである。「参画の度合い」というくらいの意味だ。
学習センターの授業では、生徒たちがカリキュラムづくりに参画する機会が、単なるおまけではなく、学習指導の一環として計画的に営まれているといえるのではないか。それはつまり、自分がどれくらいカリキュラムづくりに参画したかということが、学習評価や成績の対象ともなっているといえるのではないか、ということでもある。