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壁を「持つ」ことは出来るのか。

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カッコよく決めてるこの人も、

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壁に手を付いている外人さんも、

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壁ドンしてるこのスカした人も、


果たして、壁を「持って」いるのか?


ほんと、高齢者やその家族からは、

「壁持って歩いているから大丈夫大丈夫」

と、良く聞く。


頭がハッキリしていて、明るい場所で、意識的に気を付けながら歩行しているなら、その壁を支えながらの歩行で転倒をする可能性は低いかもしれません。


しかし、夜間や早朝で頭がハッキリとしていない状態での歩行時は、足を上げているつもりが上がってなくて、躓いて転倒をする、ってことがよくあります。


フラっとした時、壁に手を付いて転倒を免れたケース、聞いたことがない。


「壁を持っているなら」ば、転倒はしないはず?!でしょ?


何故だ?


まっ、当然といえば当然ですよね。


だって、壁は「持てない」ですもんね。


壁に手を付いているだけで、いざ不意によろめいた時に身体は支え切れません。


だからこそ、手摺が必要なんですよね。


丸いものをしっかりと握りながら歩く。


だからこそ、いざフラっときても、手摺を握っていたからこそ、身体が支えられ、転倒の防止がおこなえます。


この、「壁を持っている」という呪縛から解き放たれないと、改修工事での手摺取り付けは導入出来ません。


如何に、利用者、家族に理解をして頂けるのか?


懇々と上記の説明も行ないますし、取り敢えずは、1本を取り付けて、

「手摺に、自然と手がいき、手摺を使っている日常を体感してもらう」


その上で、


「手摺ってやっぱり大事だ」


ってことを、日常を通して体感し、その後に改めて追加提案します。


しかし、「自然と手がいく」ということは、必ずその手摺が適切な位置、場所に無ければ、結局はタオル掛けと化してしまいます。


手摺に対しては本当に、「壁に手を付いているから大丈夫」だとか、「出っ張ったら邪魔」とか、「大きな家具を移動させる時に邪魔になる」とか、様々な理由を聞きます。


転倒すれば、骨折、最悪の場合は死に至り、入院で済んでも、3ヶ月の入院が待っており、筋力低下、可動域制限、せん妄の出現など、身体的にも、経済的にも、周りの負担増、と決して良い事などありません。


利用者の自己尊重は確かにそうだけれど、如何に、転倒が予防出来るのかをしっかり伝え(選択肢を示す)、その上で選ばれたならそれはもう、こちらサイドの責任はない。

手摺や大規模な改修をしたからといっても100%事故を防ぐことも出来ないし、リスクのない生活は有り得ない。


でも、やはり極力不本意な怪我や死亡は避けてもらいたい、と日々思っている。


だからこそ、伝える。

シンプルに。


「丸いもの持ってしっかり動作が行えるように」


と。


知識も必要ですが、やはり、

「高齢者に響く言葉を日々考える」


ことも、大事だと思います。


専門職と言われるならば、より磨かないと。


この業界、特に「プロ」だとか、「専門家」とか、「先生」とかって言われがちですよね。


それならば、私達はそれに応えられる努力をし、本当に「専門家」としての対応が求められます。


“エセ”専門家にならないように。


by inochi

「関西発!inochiの即使える福祉用具・住宅改修目線!」
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【inochi プロフィール】

これまでの、福祉用具、住宅改修の実績は2500件を超える。

【資格】

二級建築士/福祉用具専門相談員/福祉住環境コーディネーター二級/ホームヘルパー二級/既存住宅状況調査技術者


〇執筆実績
日総研出版
「訪問介護サービス」、「達人ケアマネ」にて、福祉用具・住宅改修の「村上式 福祉用具のQ&A」を2年半執筆連載。
〇講師実績
福祉用具専門相談員指定講習会主任講師

介護職員初任者研修

認知症サポーター養成講座(地域住民・NPO・企業・介護施設など)

〇施設向け研修
「明日から使える!福祉用具の使い方」

「知っているようで知らない福祉用具活用法」
「どこにも載っていない、手すりの取り付け方と考え方!」

など









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