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モトBlog】追記あり>リアから振動!よくあるガタつきへの対策!

古いバイクに乗っていると、様々なトラブルが発生します。
変な振動や異音、違和感を覚える操作感etc…

その辺をあまりにも細かく気にしていると不安感でハゲかねませんので、古いバイクに乗るにはほどよいアバウトさ(というかメンタルのタフさ)が求められますが、
その一方で、それらの症状がどんな原因で発生しているのか・バイクにどんな悪さをするのかをリアルタイムで診断する判断力、そして修理をいつ行うか決める決断力もまた求められます。

本項では、著者の愛車・YB-1で現在発生している後輪周りのトラブルを例に挙げ、(若干反省を交えつつ)症状や対処の流れについて紹介していきます。

古いバイクと各種トラブルはセットだと考え、
修理をハプニングとして前向きに楽しむ位の心意気が求められる

実は筆者のYB-1、7月中旬に前後タイヤ交換を行っていて、リアホイールを単体で回転させた際
ぬぬ?後輪のベアリングが少し傷んでるかな?
という微妙な違和感に気付いていました。
とはいえ、当時はまだ実走行における振動等の症状は皆無だったので「その内ベアリング交換すればいいか」位に考え、ベアリング交換は後回しにしていました。

しかしその後、ピストン周りを新品交換したついでにポート形状変更・吸排掃気通路拡大・マフラー内部構造改修等のトルクアップチューンを施して体感トルクがかなり増した結果…
高速全開走行や登り坂での全開といった「後輪に高負荷が掛かる」走行時にガクガクという振動が発生するようになり…それは急速に酷くなっていき、遂には後輪への負荷を配慮した走りを強いられるにまで至りました。
(普通に走っていても振動はないので普段使いには問題ありません)

その振動は明らかにエンジンではなくスイングアームより後ろ、つまり後輪から発生していたものでした。
ちなみにYB-1はちっこくて単純な上に鉄の塊みたいなバイクなので「走りながら足でボディのあちこちを触って振動の出所を探る」という触診戦法が非常にやりやすく、こういう時の診断は容易な部類です。
(下手にやると危険なので非推奨)

公式webパーツリストより。
リアホイール部だけで2つベアリングがあり、
コンディションを揃える意味でもセットで交換する必要がある

バイクという乗り物は基本的に殆ど全て後輪駆動なので、長く走っていると後輪の軸受、即ちベアリングが傷んでしまうのは宿命のようなものです。

こういう時最もクレバーな対応法は「後輪及びリアスプロケットを支える全てのベアリングと、リアスプロケットとリアホイールの間に挟まり衝撃を緩和するゴムダンパをまとめて一斉交換!」に尽きます。
ダメージが蓄積して問題を起こす可能性のあるパーツを最初から全交換してしまえば、手間もリスクも最小限に抑えられます。

それに、YB-1のパーツ代なんて知れたものです。
ケチる理由はどこにもありません。

しかし!
わかってはいても「故障箇所を推理してピンポイントで治したくなる」のが筆者の悪い癖。
要するに、推理パートを楽しみたかったのです。

リアホイールベアリング。
このパーツこそが後輪の軸受であり、バイクの走りを支える陰の功労者でもある

という訳で、まずは7月のタイヤ交換の時点で微かに傷んでいるのを確認していたリアホイールベアリングを交換する事にしました。

リアホイールベアリングはシンプルに圧着されているだけ

そういう訳で、早々にパーツが届いたのでサックリ交換です。

レベルを上げて物理で殴る

この手のベアリング交換の際には「ベアリングプーラー」という専用工具があると楽なのですが、YB-1の場合はシンプルに叩き出してしまっても特に問題はありません。
但し、雑に作業するとリアホイールを傷つけたり歪めたりしかねませんので、自信がないのであれば素直にプーラーを使った方が無難です。
とりあえずデイトナのプーラー買っとけば一般人は大丈夫ですw

ベアリングプーラー(デイトナ製)
作業内容自体は非常にシンプルだが、手元が狂うと致命傷

傷んだベアリングを打ち出したら、新しいベアリングを圧入します。
新しいベアリングには、予めグリスを追加してあげます。

圧入作業は文字通り「圧を掛けて打ち込む」だけなのですが、斜めになったまま無理矢理打ち込むとベアリング外枠部が歪み、スムーズな回転ができなくなってしまいます。
全周になるべく均一な力を加え、慎重かつ丁寧に打ち込みましょう。

YB-1ジャッキアップからベアリング交換、再組上までだいたい1時間弱

という訳で、サックリと無事に交換できました。
これで終わっていれば筆者の推理はドンピシャだったのですが…

打ち出した古いベアリング。
本来はご覧の通り、左右でカバーの色も形状も異なるのだが
現在は型番が統合されており、左右どちらもオレンジのカバーが付いた物が届く。
ヤマハさんの発送ミスじゃないからね!(確認済)

ベアリング交換を終えた我がYB-1は再び元気に公道を走り始め、後輪からの振動もピタリと止み…

は、しませんでした。
振動の質が変わり、局所的に発生している感じになりました。

即ち、傷んでいたのはリアホイールベアリングだけではなく、リアスプロケットを支える(駆動側)ベアリングと、リアスプロケットからの駆動力をリアホイールに伝えながらも衝撃緩和の役割を果たすゴムダンパ、その両者も「やられて」いたのです。
そして、リアホイールベアリングのガタがなくなった事で振動発生源がその両者に集中し、振動の質が変わったのです。

問題の箇所のアバウトな概念図。
リアスプロケットから伝わるパワーを直に受け止めるベアリングと
エンジンからのパワーとリアタイヤからの抵抗をどちらも受け止めるゴムダンパ。
特に経年劣化でゴムダンパが傷みやすい

つまり今回の筆者の推理はハズレ…全交換で大正解だったのです。
とはいえ、だったら残りも交換してしまえば良いだけの話なので、サッサとパーツをヤマハさんに発注しました。

再び公式webパーツリストより。
この手のゴムダンパは他車種でもだいたい複数個セットだが、
どうかするとセットではなく単体で届いてしまい涙する事もあるので
バイク屋さんに頼む時は「1セットお願いします!」と言おう

で、本項執筆時点ではまだパーツ待ちの段階なのですが、手持ちの部品取り車に付いてるゴムダンパを仮移植したら見事に振動が消えたので、今回ばかりは大丈夫なようです。

もちろん、パーツが届いたら新品のゴムダンパに換えます。

壊れて治してつよくなる!まるでサイヤ人!
それもまた、古いバイクの楽しみのひとつ

何はともあれ、振動問題への対処はどうにかなりつつあります。
しかし…今回問題が急浮上した原因は
・僅かとはいえ傷んでるベアリングの交換を後回しにした
・想定以上のパワーアップにより傷口が早く広がってしまった
・ていうか1997年式のバイクなんだからゴムダンパ劣化してて当然

といったもので半ば自業自得、色々と反省しています。すまねえYB…
わかってるのだから先手先手でいくべきでした。
20年越しのリターンライダー、まだまだ勉強(と記憶発掘)が足りません。

でも、こういう「学び」をくれるのをYBには期待していたので、偉大な先生にして日々の相棒でもあるYBに改めて感謝してます。
次は富士ラビットS301ホンダMVX250Fのレストアも控えています(MVXは既に初期準備段階突入)ので、YBのレストアやメンテを通じて「リハビリ」を行っている所だったりもします。

コンディションが整ったら、近々このYBで四国行ったり京都〜琵琶湖行ったりする計画もありますので、しっかりメンテ&レストアをしておきたいですね。

〜2022.10.11 追記〜

試走ついでに、寒くなってきたのでジェッティングも見直した。
傍目には面倒なのだろうが、キャブレターとの対話は楽しい

最終的な修理結果を追記しておきます。
新品ベアリング+ゴムダンパを入れた結果、駆動系からの振動がなくなり、4速登りでの加速に滑らかさが増しました。
何故か新品ゴムダンパは刻印型番が違っていてダンパ自体の肉厚も薄くなっていたのですが、現状では特に問題ないので、そのまま使っていこうと思います。

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