「上武の差」は最近のアニメを観る上で重要なテーゼだ
『おおきく振りかぶって』の三橋廉シナリオ
最初に「上武の差」に気付いたアニメは
『おお振り』の廉シナリオでした。
野球留学で贔屓もされていたが、それが故に
焼きまんじゅう以外はまるで好きになれず
埼玉へ誘導されるように戻った、といふ廉
シナリオの出来の良さが、結局ギャンブル
気質で、死地としてしか存在していない
(『クレヨンしんちゃん』の臼井儀人が
滑落死したのも群馬でした、ってのが象徴的)
のがグンマーであり、埼玉には還るべき何か
がある、といふのが「上武の差」テーゼを
扱う作品でのキモの一つでもあるのですが。
陸上部が出てくる『よりもい』と『弱キャラ友崎くん』の圧倒的な差(レシオ)
次に嵌まったのが『よりもい』こと『宇宙
よりも遠い場所』です(因みにこのテの略し
方をするのが本来の日本的な略し方だと思う。
無闇矢鱈な「四文字借用」はなんか心象的に
日本人としてはしっくりこないことが多い)。
ここはグンマーにいる4話までがえらくタル
くて、特にいじいじしまくる有害物質ハヤミン
が苦手。観るのに1ヶ月以上かかったのも
ある意味「生理的に受け付けない」部分で、
グンマーからかけ離れれば離れるほどハナシが
転がりだして面白くなってくる印象。
それを改めて感じたのは『弱キャラ友崎
くん』の共に陸上部が舞台の話で「上武の差」
がくっきり浮かび上がるのも非常に興味深かった。
(『よりもい』のローソンバイト日向が辞める
ことになった陸上部は、所詮知性の低い上州
グンマーが舞台なので「空気読め」に対して
『負け犬で申し訳ない』程度の応対でしか
処理されることなく、ただ後にいつも冷静な
日向が『ふざけんなっ!ふざけんなっ!ふざ
けんなっ!』するくらいのしこりは当然残るのに
対して、『弱キャラ友崎くん』のみみみこと
七海みなみは燃え尽き症候群のようになりかけた
時に、それでも(ましろ色シンフォニー時空に
護られたかのような)与野、といふ聞き分け
出来る知性レベルは高い、武蔵のレベルにある
学校にいるので部活やめるってよシークエンス
においても、部員皆にきちんと謝ったうえで
復帰する道筋を作れる、といふのがいわゆる
顕著な「上武の差」の典型例なのかなと)
やっぱり残念すぎる『シンカリオンZ』
そんな感じで一時期は『シンカリオン』と
『シンカリオンZ』も観ていたのですが、
ハヤト◆佐倉綾音[アイム]と新多シン◆
津田美波[青二]に優劣はほぼほぼないの
ですが、ハヤトの鉄ヲタとしての熱血ぶりに
比して碓氷アブト◆鬼頭明里の魅力と熱意が
余りにもなさすぎてねえ。
あとはお宝探しのデンソーコード多用が
安っぽすぎて、すごくチープなオカルト
探究の一種にしか見えなかったのがいかにも
残念。
『その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする』
といふことで、「埼玉県に行くのよ。」
ではなく「埼玉だからスパダリ(スーパー
ダーリン)がいる」を「人形職人」や裁縫、
「コスプレ」を絡めたことで、藤島康介や
椎名高志に「ちくしょう、ちくしょう」と
言わしめた「上武の差」もくっきり出ている
漫画でありアニメがビスクドールこと
『その着せ替え人形は恋をする』ではなかった
のかと。
(英題もなかなか洒脱なのね。
”My Dress-Up Darling”)
https://togetter.com/li/1861467
キャスト
音楽■中塚武
音響監督■藤田亜紀子
音響効果■野崎博樹、小林亜依里
喜多川海夢◆直田姫奈{アニモプロデュース}
*元保育士出身の若手声優。
五条新菜◆石毛翔弥[INTENTION]
元劇団四季。ライオン・キングの主演やってた。
スターダストプロモーションの声優部を経て
鈴村健一が社長も務めるINTENTIONに。
乾紗寿叶(さじゅな)◆種﨑敦美[俳協]
乾心寿(しんじゅ)◆羊宮妃那[青二ジュニア]
五条薫◆斧アツシ[大沢]
基本的にスタッフとして重要視すべきはここ。
アニメーションプロデューサー●梅原翔太
動画工房でいくつもの伝説を打ち立てた梅原翔太
(中には中途の暴走を抑えきれず『プラスティック・
メモリーズ』みたいな作品もありましたが)が
Clover Worksに落ち着いてなおここまでの完成度を
持った作品の作品管理が出来ているのか、に驚愕。
あとは出資額順では後列ですが、スタジオマウスが
「着せ恋」製作委員会に参加しているのは興味深い
案件なのかなと。
音楽はワークス含めしっかりとソニー系のサクラ
ミュージックが仕事していて、OPもEDもすごく
作品の世界観に合ってる。
OP:「燦々デイズ」スピラ・スピカ
ED:「恋ノ行方」あかせあかり
1話だけ観ても「ギャル、コスプレ、アニメ、
エロゲ、ファッション、オタクフィギュア、美少女
プラモ、伝統工芸、学園生活、コミュ症系。
こんだけ違和感なく詰め込まれてるの凄い」
と語ってる人がいたけど、それらを全て包摂する
ことが出来るあたりがかの愛知が生んだパソコン
(ゲーム)の天才にして落語家だった三遊亭圓丈を
育んだ街、埼玉県の底力でもあるのかなと。
https://www.shogakukan.co.jp/books/09406499
(所詮規制することしか知らない都知事閣下や
都知事女帝が跋扈するトキオでもここまでは行けまい、
ってあたりがかかっているのもミソ)
それらを振り払う名言がちゃんと2話でスルッと
出ているのもいい。
http://anicobin.ldblog.jp/archives/58923675.html
とまあそんなわけで最近注目してている「上武の差」
テーゼが含まれた作品について、いくつか語って
みました。まあこんな観方も日本のアニメにはある、
といふことで。