見出し画像

「この人を悼む」・5回目は北海道出身のベテラン声優・上田敏也氏(2022年2月8日没)について。

といふことで「銀英伝参り」も怒濤篇の半ば過ぎ。
いずれにしても例のひっかかりで解除の上の句は
書けないのですが、「ジャムではなくママレード
でもなく蜂蜜で」までは来たので、そろそろ今年
亡くなった上田敏也氏について「この人を悼む」
で書こうかと。「この人を悼む」は5回目になります。

唯一北海道出身の年上で現役の声優でもあった人
(なので引退されたキートン山田氏は(かつてサイン
本を拾って読んだことはあるんだけど)除く)で、
トミーおじいちゃんを長い間『おじゃる丸』シリーズ
で演じられていた上田敏也氏が亡くなられました。

まあ個人的には81プロデュースを受検しに行った
動機の7割方はこの人ありき、だった人でもあるの
ですが(確かにそれは南沢社長の前でもそう答えた
記憶はあるのだけど)。

享年は88。といふことでひとまずコメントの抽斗を
探したのは『バトルアスリーテス大運動会(初)』
の頃に一通りまとめてた記述があったかも、と思って
拾って来た。

大体この頃(1997年)の声優起用はバランス良く
まんべんなく、タイプの人が多かったし、一般的
には『ちびまる子ちゃん』の音響監督をやっている
ことなどで知られた本田保則氏がディレクション
していたので、81プロデュース所属の声優さんが
わりかし多かったところになぞらえて、確かに
上田敏也氏の記述も少しある。少しリライトしてみる。

神父(ボビー,15・23)◆上田敏也[81]
第2部のジェシー挫折編あたりで哀愁の名演技を
見せた神父ボビーに『少公女セーラ』でセーラを
助ける余りにラビニア(山田栄子!)に追い出される
フランス語教師ディファルジュ先生。

(再放送時に確認した時の作成データにおいては
一応下の表記が確認出来た↓)
デュファルジュ(フランス語の先生,3・24~27)◆上田敏也
『MINKYMOMO IN 虹に掛ける橋』の
クレープ屋のおじさんなどの他校長、紳士、医者、
犯人役でも目立たないが味のある演技を見せる、
洋画系統にも縁の深い◆上田敏也[81]を起用して
ドラマにひとつの深みを与えるキーセンテンスと
なっていたことには注目してもいいと思う。

あと、細かいところでは『MASTER KEATON』
の天田教授でしょうか。
天田教授(21)◆上田敏也[81]
キートンの21話といえばアザミの紋章(元の
原作版で言うと6巻の8話)。天狗の先祖に似ている、
といふ教授役を演じておられました。

外画の吹き替えとしては「シンドラーのリスト」の
イザック・シュターン役に感心し、言われていない
「技ありの一声」としてはグループ・タックがかつて
仕切っていた「まんがで読む古典」シリーズに多数参加
しており、特に立川志の輔が吉田兼好(兼好法師)
やってた橋本治翻案ベースの「まんがで読む枕草子」
「まんがで読む徒然草」シリーズでは、貴族から何から
何でもござれと得意の洒脱で知性のある声をやらせたら
他に抜きんでる者などいないとばかりに様々な声で
活躍されていたのが思い出されます。

『バトルアスリーテス大運動会』時代以降での作品に
おいてはトミーじいさんとあとは「銀河声優伝説」こと
『銀河英雄伝説』ではイゼルローン要塞に駐留し
最期は責任を取って自決したヴェーラー中将が印象的な
声優さんでした。

『おじゃる丸』シリーズはメイン役がバンバン代わって
いるのだけど、元々小西寛子だったおじゃる丸が月光町
に舞い降りる前の冒頭シーンは弟のいないカズマ◆渕崎
ゆり子とトミーおじいちゃんが天体観測をしているシーン
から始まるんだよねえ。渕崎さんと上田敏也が四半世紀
代わらずに続けられていたからこその『おじゃる丸』
だった、とは思うのですが、この余波と仕打ちが突然の
センバツ野球中継で、25周年記念SPが深夜3時台に
左遷される、といふいかにもなEテレの脆弱性に関連
してしまったあたりがいかにもあまりにもな、なのですが。

 それでいて同じ25周年よしみで今年の新シリーズ
EDを椎名林檎が歌っているのもまた『おじゃる丸』の
位相らしいのですがね。

https://animeanime.jp/article/2022/03/25/68392.html

改めて上田敏也氏の御冥福をお祈り致します。