2022年本屋大賞予想。

 先日、ノミネートの発表があった。
「おっ、読んだのがあるな。」「昨年受賞した方の最新のもあるんだ?」とチェックしていると、気になるのがあった。

 それが『星を掬う/町田そのこ』『夜が明ける/西加奈子』『赤と青とエスキース/青山美智子』『スモールワールズ/一穂ミチ』だった。

※以下、『星を掬う/町田そのこ』が何度も出るため、『星すく』に統一。



既読しているのは『スモールワールズ/一穂ミチ』なのだが心に残らなかったのか、内容を思い出せず(後々、思い出したのだが『無意識の殺害』をテーマにした短編があり、読んだ時に何とも言えない感情が…)。

今一番読みたいのは、『共同生活』というキーワードでそう思わせた『星すく』かなと思う。


『共同生活』と似ているようで似てはいないのだが、たまたま観たTV番組のハートネットTV「垣根のない家」で、「いつでも誰でも好きに使える場所」としてtoi(トイ)が紹介されていた。 

その家では、全員が一緒に住んでいる訳ではなく、ほとんどが立ち寄っていく場所のような印象を受けました。ある意味、自分が自分らしくいられる場所ではないかと思う。

 尚、ここまで記事を進めた後、『星を掬う/町田そのこ』『夜が明ける/西加奈子』を読みました。『赤と青とエスキース/青山美智子』はまだ読む気になれず。


 『星すく』著者は、2021年の本屋大賞を受賞しており、受賞作は『52ヘルツのクジラたち』なのだが、登場人物の中に報われなかった登場人物が出てくる。
時たまにその人を思うと、心の中にやるせなさが湧き出てしまう。それが『星すく』で癒されたように感じた。ある意味、救われたのかもしれない。

 この『星すく』には、様々な女性達が出てくる。自力で気付き負の連鎖を断った母(聖子)と、彼女の「いきなさい」の言葉により起きた事に強く心を動かされた。しかし、『母と娘』という女性世界の印象が強過ぎるのが気になった。

 次に『夜が明ける/西加奈子』を読んだのだが、「これは大賞を受賞するかもしれない。」と思わせた。

 最初、迫力のある表紙イラストに目をひかれ、次にタイトルで「なんで、夜"が"明けるんだろう」と疑問が浮かびましたが、読んで「なるほど!」と思いました。

 内容は"俺"と"アキ"それぞれの人生が交互に進み、時折"アキ"の日記の一部のようなものが挟まれるといった感じ。
"アキ"といえば、映画チラシを収集している自分にとっては、フィンランドの映画監督アキ・カウリスマキを思い浮かぶ。

文中に出てくる、映画『男たちの朝』についての内容がやはり、アキ・カウリスマキっぽい。元ネタは、映画『街のあかり』だろうか?

 この物語、自分風にまとめると
 "俺"によって"アキ"は、"深沢暁"から"アキ・マケライネン"として生き、そして亡くなるのだが亡くなる前の奇跡が、"俺"の苦しい夜を明けさせた。夜は明けるのではない、明けさせるのだ。
といった感じ。

 文中で好きな箇所は、
「夜が明ける。みんなの夜が明けるんだよ。」
「苦しかったら、助けを求めろ。」

 印象に残った登場人物は、遠峰と森。
負けを拒絶する遠峰と、自分自身のために声をあげる森。

 何度読み返してみても、やはり『夜が明ける』が良いと思う。以上、2022年本屋大賞予想でした。

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