2020/9/26(うたの日366)
休み時間おわっちゃうねといいながら金魚を埋める君を見ていた/あおきぼたん
(2017/12/18「休」)
場面の切り取り方がいいなと思う。前後の説明がなくとも何があったのか想像させる部分というか、またそれでいて、かつて多くがこのシーンを体験したこともあるようなワンシーンを選択している気がする。…教室で飼っている生きものって、生きている間はみんなそれなりに世話をしたり、餌をやりたがったりするのだけれど、「死体」になると途端にみんな忌避する…というか、生きていた間と同じ熱量で、それと接することができない。教室で飼っているのだから、そういうことに触れさせる目的もあったのだろうな、と大人になってからは解るけれど、子どもの頃はそれは怖いし、どうしていいか解らない。歌のなかの「君」はなんとなく、そんな教室の雰囲気のなか率先して金魚を埋めにいったように思えた。主体はその「君」が気になって付いていったものの、金魚を埋めるのを手伝う訳ではなくて「金魚を埋める君を見ていた」というのがすごくリアリティがある。…主体自身も「死」が怖いし、でもそれを自発的にできるおそらく早熟な「君」が気になってもいるのかな、と。直接描写されていないのに、繊細な感情が込められた歌だと思う。