2020/9/23(うたの日366)
ルビールビーあなたのように燦々と母の怒りのうつくしいこと/アナコンダにひき
(2020/7/21「ルビー」)
ルビーのような怒りなのだから、冷静でありながら激しい怒り方で、かつ宝石のできる年月くらい凝縮された怒りなのかな、といろいろイメージできる。また「怒り」を「うつくしい」と感じるのはなんとなく解るし、実際に怒る姿が「うつくしい」ひともいる(と思う)。ただ、それは怒りが自分に向いていないときであり、怒りを向けられてたときは「うつくしい」と感じる余裕はきっとないだろう。…そう考えると、この母の怒りは主体に対してのものではないようだ。
この「母」をもっと大きなものの比喩(自然など)に喩えたり、ディズニー映画の継母のように読んでも面白いのかもしれないけれど、ひとまず血縁関係の「母」として読んだ。上の句の呼びかけは、母に対してではなく、母の怒りを抑えようともその怒りの対象に同情しようともしていない。宝石は受け継がれる財産でもあるし、主体もこの母のような怒り方をいずれするのかもしれないとも思った。