2020/8/22(うたの日366)
舟だっておもう、からこそ、こわれたらきみは直ちに逃げてください/山口綴り
(2019/6/1「結婚」)
「舟だっておもう、からこそ、こわれたら」の勢いがすごくいいなと思う。この句読点の少したどたどしい感じと仮名にひらいているあたりに初々しさがある。「結婚」部屋の短歌であるので「舟だっておもう」のは結婚のこととして読むのだが、結婚するシーンではなく、結婚がどんなものなのか語り合っている、もっと幼いふたりなのかとも思った。
また、舟が壊れてしまうのは自分たちではなくて、もっと大きな力を想定してのことのように思えて面白い。でも確かに「結婚」とするとそれぞれが傷つけ合う印象があったりもするけど「舟」なら乗っている自分たちで壊すことはまずない。お互いがお互いを傷つけ合う未来が来るとは思っていない、純粋さとして捉えていたのだけど、もしかすると、この主体はその舟が壊れたところに遭遇したことがあるような気もした。
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