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2020/8/6(うたの日366)

舐めさせてもらった日からXO醤はあなたの中指の味/華栄
(2020/1/8「味」)


アイテムの使い方が上手いなあ、と思う。まず「XO醤」が絶妙な気がする。XO醤と云われてその味を頭にすぐ思い浮かぶひとがそんなにいなさそうであるし、普段使いの調味料でもない。味噌とか、醤油とかより生活感が希薄な感じで、かつ、黒くどろっとした未知の物質…な雰囲気が強い。また、これと響き合う「中指」の選択も上手い。小指、薬指だとこのどきどき感は出なかっただろう気がする。
かつ、XO醤にスポットを当てつつ「あなた」との関係が、想像の余地を残しつつ説明が巧みだと思う。「あなた」の方がおそらく料理が上手く、恋人ではあるのかもしれないけれど、まだそこまでは親密ではない。中指から直接舐めさせて貰って、実際のXO醤の味はどんなものか感じられる余裕がなかったんじゃないかな、とイメージしつつ読んだ。そのあと、実際のXO醤を使った料理もきっと食べたはずなのだろうけど、それでもまだ塗り替えられないんだろうな。全方向で幸せな歌を久しぶりに読んだ気がして、素直にいいなあと思えた。

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