スピラ旅行記 その48
ユウナはすがる思いでユウナレスカに会いに行ったことでしょう。
父の死が無駄だったなんて考えたくもない。だからストレートに質問するのです。
「究極召喚で倒しても シンは絶対によみがえるのでしょうか」
「シンは不滅です」
「シンを倒した究極召喚獣が新たなシンとなりかわり 必ずや復活を遂げます」
答えはNO。現実は非情です。
シンはスピラが背負った永遠に変えることのできない宿命であると話します。もちろん納得ができるはずがありません。ワッカは人間が罪をつぐない切った時、シンの復活は止まるんだろ?と聞きます。
しかしユウナレスカは人の罪が消えることなどありますか?と返します。
目の前にいるのはエボンの教えを歪めている神官や僧兵など寺院の人間ではありません。もっと神格化された別次元の人物です。そんな人物が教えを守ったところでシンは永遠に生まれ続けますと言うのです。教えを守ってきた全てのスピラの民に代わって怒っているように感じました。
しかしユウナレスカは教えや究極召喚という希望があるからこそ、その悲しい定めを受け入れるための力になっているというのです。変えられない悲しい運命(シンという厄災)を認めてスピラの民が1000年も滅びずに生きてこられたのは、ナギ節やいつかシンが消滅するかもしれないという明るいニュースというニンジンを目の前にぶら下げられているからということです。
それすらも無ければ運命に抗うことなく無気力に絶滅していた、と言いたいのかな。そう言われてみればそうなのかもしれない。ユウナレスカの作り出した夢もあながちまちがってはいないのかも。でも騙された!裏切られた!と怒るのが普通の反応でしょうね。
ふざけるな!!
ティーダが声を荒げて駆け出すのと同時に、ふざけるな!!と声を荒げユウナレスカに駆け寄るアーロンの幻が現れ、見事にシンクロします。
ブラスカは教えを信じて命を捨てた。ジェクトはブラスカを信じて犠牲になった。ただの気休めのために・・・!!
信じていたから自ら死んでゆけたのですよ。
穏やかに話すユウナレスカ。
我慢ならん!!といった様子で斬りかかるアーロン。
しかし魔力の壁に跳ね返され吹き飛ばされてしまいます。
アーロンの無念を表すように太刀が宙を舞い地面に突き刺さります。そのままふわっと幻は消えていきます。
「・・・いやです。」
あなたの祈り子は誰?とユウナレスカに聞かれるも、はっきりと否定します。私の命が役に立つのなら死んでもいいと思っていました。でも究極召喚はなにひとつ変えられないまやかしなのですね、と。
究極召喚はスピラの希望です。
あなたの父も希望のため犠牲になりました。
父さんの願いは悲しみを消すことだった。忘れたりごまかすことじゃない。
そうここに来るまでの間、父やアーロンの会話を見てきました。確かに間違いなく「悲しみを消しに行くのだ」とほほ笑んでいましたね。
父さんのこと大好きだった!だから父さんにできなかったこと、私の手で叶えたい!悲しくても生きます。辛くても生きて戦って、運命を変える!
父ではなく父さんと呼んだり、変える!と力強く言い切ったり、ユウナのいつもの口調と異なるのはそれだけ感情的になっている証拠。彼女も本当に悔しい思いでしょう。腹の底から感情があふれている証拠なんです。
おろかな・・・。
悲しい闇に生きるより 希望の光に満ちた死を。
このまま帰してしまえばスピラにこの真実が知れ渡ってしまいます。シンがいつか消えるかもしれないという希望があるからこそ繁栄をやめない人間たちに、この真実を知らせるわけにはいきません。
死の安息を、とシーモアと似た思想で殺しにかかってきます。
子どもの頃のシーモアもここでこの思想に共感し、母(アニマ)と生きることを決めたのかもしれませんね。シーモアの母も生きるだけで辛く苦しい立場の人でしたから・・・。
アーロンが大声をあげます。さぁ、どうする!今こそ決断する時だ!死んで楽になるか、生きて悲しみと戦うか!
拳を固くして皆に号令をかけるこの瞬間、何度見ても心が揺さぶられます。力強く、彼らの希望を見つけるための大きな号令。ここまでぐっとこらえてきたアーロンの感情が爆発するようなシーン。素晴らしい。心をぐっと掴んで放しません!
迷いはありません。キマリが死んだら誰がユウナを守るのだ。
いたってシンプル。いいぞ、キマリ!かっこいい!
あたし やっちゃうよ!
アーロンが見守る中みんな生きる覚悟を固めていきます。
とんでもない展開にありながら、みんな同じ方向に走り始める瞬間。
ユウナレスカ様と戦うってのか?冗談キツイぜ・・・
と言いながら、シーモア老師との戦闘に怯えていたあの頃の彼とは違います。まっすぐにユウナレスカを見据え、戦闘態勢を取ります。固い決意で前へ進むことを決めるワッカ。
ここで逃げちゃあ・・・オレぁ オレを許せねぇよ。
しぶい。かっこいい。優しいだけのワッカだった頃が懐かしいくらいです。
柔らかな表情を浮かべながらワッカに言うルールーのシーンも素晴らしい。言葉数は少ないですが、ワッカへの信頼や同じ考えだったことへの喜びなどが感じ取れるいいカットです。
ユウナ!いっしょに続けよう!オレたちの物語をさ!
呼吸を整えた一瞬、ティーダの中でも決意を固めたでしょう。希望に満ちた笑顔でティーダは言います。ルーキーのこの言葉、よっしゃ!と気持ちが入ります。
この間挑戦という音楽が流れ、画面はガガっとザザっと動き続けているのですが、ユウナレスカの強い力が空間に歪みを生じさせていることを感じさせつつ、各メンバーの決意をしっかり見届けることができる素晴らしい演出なんですよ。泣く。
いざ!
ユウナも腹をくくりました。
戦闘開始!
ユウナレスカの髪と繋がるようなデザインの触手。
ゾンビ化されたりそのままリジェネやアレイズを狙ってきたり、ねちっこい戦い方で攻めてきます。
ある程度ダメージを負わせるとさらに地面から大きなメデューサのような頭部が現れます。長い舌と赤い目が気持ち悪い・・・。
いかに聖なる召喚士でも1000年現世に留まると魔物化悪魔化してしまうのですね。
ちなみにこの形態の時、ユウナレスカは髪代わりの触手のところで寝そべっています。もうちょい何かあったのでは?と思うのですが・・・。笑
摩天のガーディアン戦でレベル上げといたので今回は苦戦することなく勝利。ユウナレスカは元の人の姿に戻ります。
ここで永遠に生きるエボン=ジュと言う存在を聞き出すことができます。またそれがシンを生み出しているということもこのシーンで判明します。消えゆく者の一度しか流れないセリフなので聞き逃すとその後の展開についていけなくなります。初見の時は先ほどまでの興奮が冷めやらず、涙をふいていたのでそれどころではありませんでした。笑
ユウナレスカが思い描く希望と私たちが思い描く希望の食い違いから起こる戦いでした。実際ゼイオンは妻の行動をどう思っていたんでしょうね。
宇宙空間に崩れた部屋が浮いているような状態。
これも高濃度の幻光虫のせい?シンの体内に少し似ていますね。
そう言うユウナに、このセリフ。
究極召喚無しでシンを倒そう!しかも復活させずに!とにっこり笑います。「どうやって?って聞くなよな」という顔も笑顔です。掴んだ情報を元に次の作戦を考えましょう。
あれほど明るかった広場がすっかり暗くなり静まり返っています。まさに廃墟。あるべき姿に戻りました。
みんな足早に通り抜けていく中、アーロンがティーダを呼び止めます。
「そろそろ はっきりさせておこう」と。
しかしティーダも薄々勘付いていました。
「ユウナレスカにやられたんだろ」と言うティーダに対し「納得できなかったんだよ。あいつらのかたきを討つためにもう一度ここに来て 返り討ちだ」と答えるアーロン。
なんとか一命を取り留めて山をはい降りて・・・
ベベルの手前で力尽きた。その時に出会ったのがキマリであることを告げます。
その状態でガガゼト山を降りたのはさすが伝説のガード。
しかしユウナのことをロンゾの若者に託したところで精魂尽き果て・・・といった状況でしょうか。辛かっただろうな・・・。
こんな身体でも便利なことがあってな、と明るく言うアーロン。
お前のザナルカンドにも行けたしなと。
しかし今度はティーダが声を荒げます。
どうしてそこまでするんだよ あんた!と困惑するように。
説明に困るアーロン。
俺の記憶を見せてやろう、と幻光虫を出して見せます。
そこにはザナルカンド遺跡のあちこちで見かけた3人の姿が浮かび上がります。
ジェクトが何やら頼みごとをしたがっています。
わりぃ。やっぱいいわとか何とか言いながら、照れがあって素直になかなか言えない様子を見せながら、アーロンにせっつかれ「よし、言うぞ」と唯一の頼みごとをします。
あいつ 泣き虫だからな
心配で仕方ないんですよ。こちらの世界に来てからより息子に対する愛情に気づき、その気持ちと向き合ってきたジェクトだからこそ、最期のお願いは「息子を頼む」だったんです。
アーロンは死んでも守ると約束を交わすのです。
好敵手のような関係の二人の奇妙な友情と漢の約束が、この物語の奇跡を起こしたんだと私は考えています。
ある意味一方的に過去を見せて「こういうことだ」と逃げるようにその場を去るアーロン。ティーダはスケールの大きすぎるアーロンの優しさや義理堅さに言葉を失ったことでしょう。
私も胸に響いてこの空間から少しの間動けずにいるのでした。