妊婦とスパイスカレー [25/30]
妊婦は食事制限を受けている。
食べるものを選ばないといけないというべきか。
今日も、産前育休の特権でお昼ランチに出かけた。
前から気になっていた人気のカレー屋さんに行くことにした。
南インド風のカレーで、かなり本格的らしい。写真を見てもその雰囲気は見てとれた。
これは楽しみだ。オープンの時間ピッタリに行くとすでに満席だったので20分ほど待つことになった。
待っている間メニューを見ていた。
カレーのお品書きは全4種類で、セットに含めるカレーの数は1〜4種類で選べる。
妊娠してからというもの常にお腹がいっぱいで吐きそうな感覚がある。
今日も例外ではない。
食べすぎると美味しいものも美味しく無くなると思い、1種のセットにしようと決めた。
1種類をどのカレーにしようかと、詳しくメニューを見た。
どれも美味しそうで決められない。
口コミサイトでどれが1番人気か確認してみたが、ほとんどの人が4種セットを頼んで、全部美味しいと投稿している。
おいおい、役立たねぇな!(失礼すぎる)
かなーり悩んだ末、結局私も4種のセットを頼むことにした。
食い意地を張ってしまった。
未来の自分がどうなっているかおおよそ予想はできたが、この性格ばかりはどうしようもない。
席について、いざカレーとご対面。
真ん中にタイ米が盛られ、その周りを4種のカレーと5個ほどの小鉢が囲んでいる。
なんだか楽しげな雰囲気でテンションが上がる。
まず一つ目のカレーをひとくち。
うん、とても美味しい。
が、なかなかスパイシーだ。
お次に、二つ目のカレーをひとくち。
うん、とっても美味しい。
が、こちらもなかなか、スパイシー。
ここでようやく頭をよぎったのが、
妊婦ってスパイスカレー食べて良いんだっけ?
という疑問である。
どのカレーもどの小鉢も大概スパイシーで胃が休まる暇がない。
南インドのカレーを舐めていた。
お腹の中の生き物も心なしかボコボコと暴れているような気がした。
もしかして私、今禁忌を犯している?
カレー自体は非常に美味しい。
だが、スパイシーさゆえ、食べ進めるのにかなり苦労した。
もはや戦っているような感覚である。
救いだったのは小鉢の一つがバナナ入りのヨーグルトだったことだ。
このカレープレート界のアンパンマンである。
アンパンマンのおかげでなんとか食べ終えることができた。
人気のカレー屋ではあったが、純粋に美味しいだけでは済まされない経験となった。
編集者のコメント
「カレープレート界のアンパンマン」とは「救世主」を表す比喩とのことでした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?