ぶらんこ
整体に行くと、その後の元気になり方が毎回違うからおもしろい。
すぐに眠くなったり気持ちが明るくなったりと反応の早いときもあるし、整った体でさてどうしよう?と数日のあいだ体が考えこむようなこともある。こないだの施術では後者だった。
もともと興味があった中医学をもうちょっと深掘りしたくて、教科書を買って少しずつ読み進めている。中医学をはじめ東洋の学問は理屈から離れたものだと無意識のうちに思い込んでいた。もちろん臨床において経験則というのは侮れないのだろうし、漢方にもさんざ世話になってるから効くことは知ってるんだけど、それでもどことなくスピリチュアル系の匂いを感じていたみたいだ。
それがけっこうな誤解だったと、教科書を読んでびっくりした。まず陰陽五行説と弁証法の説明から懇々と始まって、西洋のそれとは別の理屈で世界を組み立てていく。要はスピリチュアルどころか、ゴリゴリの理論のうえに千年単位の膨大な臨床データを重ねて成り立ってるのが中医学らしい。新しい理屈を吸収するのはわくわくする。
とくに陰陽の考え方が気に入って、最近なにかにつけて「これは陽、これは陰」と分類して遊んでいる。
陽は動くことや明るいものにあてはまり、陰は動かないことや暗いものにあてはまる。今は世の中全体が抑制されているので、以前に比べると陰がつよくなってると思う。
ただ、陰陽はどちらかが良いものであるというわけではない、というのが難しくて面白いポイントだ。中医学の治療で目指すのは「バランスの取れた状態」であって、「異常を正常に治す」という西洋医学の治療とはだいぶ違う。
仕事がリモートになって以来、少し疲れたらベッドに体を伸ばして2〜3分寝転がるようにしていた。はじめのうちはよかったんだけれど、だんだん活動しているときと休んでいるときの差がなくなってきて、いつもどことなく怠い状態になってしまっていた。なかなか「動き出そう!」という気が起きてこない。週末もだらだらとスマホを眺めたり寝たりを繰り返してて、それすら辛くなってきた。
そこで、朝いちばんに布団のなかで「今日行うトピック」をスマホのメモに書き出してみることにした。昼ごはんに何を作るとか、ガス台の掃除をするとか、おやつにはコーヒーゼリーを食べるとか。具体的で小さなことを少なく書き連ねる(いっぱい書くと破綻するに決まってるから)。もともと計画を立てて実行するのがてんで性に合わないので、ダメ元ではあったのだけれど、やってみたらわりと楽しい。必然的にスマホを見る時間も減って、時間の流れがゆったりしてきた。
体を動かすことは陽で、夜眠ることは陰だ。引きこもってると昼間でも陰が過剰になってしまうから、一日のなかに陽をいくつか用意するのは良い作戦かもしれない。
陰陽はどちらか片方では成り立たない。前にしか振れないブランコがないように、行ったり来たりするのが当たり前であり、それが健康ということなのだそうだ。少しずつ漕ぎだしてみたら、体が軽やかに動いてくれて、施術で整ってたんだなぁと思い出した。動きたくなったときに素直に動いてくれる体があると嬉しい。