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歌舞伎座裏の喫茶店@東銀座
「だからさ、お前に聞いてるのは、なぁ、1日あたりの出荷がどのくらいあるのかって、聞いてんだよ。」
中年という年代から10年ほど経過しているであろうか、初老といっても良い年代にさしかかった男は、目の前に座る40代と思わしき男にそう告げた。テレビ画面に映る砂嵐のような色のグレーのスーツを着ている。
40代の男は、暑い盛りだというのに黒いスーツを着ているが、スーツはやや日焼けしており、色あせている。黒
街の喫茶店@横浜方面
「あー…、疲れた。」
新卒と思われる若いサラリーマンは、スマホの通話を切ると地底に響き渡るような声をあげて、ため息をついた。今は6月、新卒で会社に入り、新人研修を終えて飛び込み営業をさせられているのだろう。先ほどからその若いサラリーマンは、喫茶店の奥の一角に陣取り、スマホでテレアポの電話を幾度となくかけ続けていた。
田所は、それとなくその若いサラリーマンの動向をうかがっていた。フリーライター田
スターバックス@銀座
田所洋介は、いかにもスターバックスらしい漆黒の炭の味がするコーヒーを飲んだ。この炭を煮詰めたようなスターバックスのコーヒーを、3日に1回は飲まないと落ち着かない。
田所はフリーライターというその仕事柄、都内のあらゆるカフェに赴いているが、その中でもスターバックスを訪れる頻度は群を抜いて高い。
田所は銀座のスターバックスの片隅に席を陣取り、本日スタバで飲む2杯目のコーヒーを楽しんでいた。スターバッ
アンティコカフェ アルアビス@駅近くの地下街
アンティコカフェ アルアビスは、英語で表記するとANTICO CAFFÈ AL AVISと書く。イタリアのバールをイメージしたオシャレなチェーン系のカフェだ。店の面構えにも、そのへんのコーヒーチェーンとは一線を画す格式の高さがある。真っ赤な看板にANTICO CAFFÈ AL AVISという店名がセリフ体のフォントで掲げられており、店先には婉曲した優美な背もたれと華奢な足を持つ椅子が並んでいる。入
もっとみるシャノアール@駅近のビル
田所洋介は静かに愛用しているVAIOを閉じた。コーヒーを一口飲む。コーヒーチェーン、シャノアールのコーヒーは評定平均3のような味がするコーヒーだ。悪くはない、そして特別良くもない。そしてその中間的な味わいが、喧噪に追われる日常にフィットしていように思える。
シャノアールは、関東近郊を中心に展開するカフェチェーンだ。スターバックスのような駅前や駅中の一等地に立っていることは少ない。駅を降りて、商店
スターバックス@郊外の駅ビル
「やばい、このフラペめちゃくちゃ美味しい。」
「まじやばい、超美味しいよね。」
「これはリピートしたいよね。」
田所洋介は、コーヒーを口に含みながら、隣の女子高生3人組の歓声を耳にした。炭のような味がする黒いコーヒーだ。田所はフリーランスのライターという仕事柄、カフェで仕事をすることが多い。VAIOのキーボードをパタパタと叩きながら、一定の間隔でコーヒーを口に含む。
「やばーい、本当に美味しい