2025.01.03カルボナーラと、スロウトレインに思ったこと【くだらない日記】
夕飯のおともに『ラストマイル』を観たかったけど、まだ配信には来ていなかったので、代わりに『ミステリと言う勿れ』の映画を観た。
夕飯はとろろを使ったカルボナーラだ。”三日とろろ”という風習にならって実家では自然薯をすりおろしてとろろご飯を食べていた。
でも今日はパスタが食べたかった。ちょうど、年末用に買っていたとうもろこし粉のパスタが半分余っている。手軽だし、ワンプレートでもごちそうっぽくなるのがいい。明日からダイエットを始めようと思っているので逆に3が日最終日はがっつりしたものを食べたかった。
たまねぎと、しいたけと、アレッタを切ってオリーブオイルで炒める。ベーコンの代わりに1センチ幅に切ったハーブソーセージを投入し、ノルウェーのリダーチーズも刻んで入れた。火がまわってチーズが溶けたら、こげつかないようにいったん火を留める。香ばしい、いいにおい。チューブのにんにくと、すりおろした長いもを追加。めんどくさいので生卵はフライパンにそのまま割入れて、木べらでぐしゃぐしゃに溶いて他の具材と混ぜた。それっぽい見た目になってくる。めんつゆを入れ、また弱火をつけてあたためて、ゆでたパスタを絡めたらできあがり。粉チーズと黒コショウはお好みで、アクセントに刻みのり。
なかなかうまくできた。ハーブソーセージ、お前、良い仕事しているよ。正月はやっぱり和食メインが続くので、我が家の三日とろろは毎年これでもいいかもしれない。
『ミステリと言う勿れ』は、テレビでドラマをやっていたとき「なんか違うな」と思って途中離脱していたのだけど、映画は「なんか良いな」と思って観れた。単純に原作を読んでから時間が経っているので、色々気にならなくなってたのかもしれない。そう思ったら、原作のほうを読み返したくなってきた。
信頼できる作品、というのがある。この作品は、わたしのことを傷つけないし、むしろ苦しいところに光をあててくれると。
『ミステリと言う勿れ』の原作はそうだ。
そして、今の世で「信頼できる作品のつくり手」としてたぶん多くの人が名前を挙げるのが、脚本家の野木亜希子さんじゃないだろうか。
年末、夫が『MIU404』を観始めてから、我が家には野木作品ブームが来ている。『MIU404』のあとは『アンナチュラル』。わたしは『MIU04』はリアタイしてたけど『アンナチュラル』は4話以降みてなかったので、途中から一気見に参加した。
で、昨日やってたスペシャルドラマ『スロウトレイン』も、泊まっていたホテルのテレビで観た。
ひとは死なず、事件も起きない。裏切りも復讐もない。そんなドラマに、たくさんの人の心が揺れ動かされているのを、SNSで眺めていた。
役者さんの使い方がニクイよね、と思う。このひとがそんな風に出てきたら、そりゃ、惹きこまれちゃうよ。ずるいよ。そう思う場面がちらほらあった。
キーワードとなっていたのが「さびしさ」。松たか子が演じる主人公・葉子が、家族の出て行った鎌倉の家でひとり、ようやく訪れた寂しさを味わうシーンが独白のうつくしさと共に心に残っている。
すごく、素敵だな。いいなと思いつつ、ちょっとだけ、魚の小骨が喉に引っかかったような気持ちがするのはなんでだろう。
考えてみて、葉子さんが素敵すぎるのだな、という結論に至った。
葉子さんはひとり、鎌倉の古いおうちに住む。がらんと広いその場所は、独りであることを際立たせるけど、自由とゆとりも感じさせる。年の瀬まで夜なべして打ち込んだしごとは、美しい1冊の本となる。大晦日には、老舗っぽいお店で、一人前の蕎麦を買って帰る。
ひとりで生きるひとを、素敵に描くことは希望だ。でも現実、こんなに素敵に生きられているひとはどれくらいいるんだろうか、と考えてしまう。
わたしは『スロウトレイン』を、好きだなと思った。ひとりで生きることだけじゃなく、誰かと一緒にいることもある意味で「寂しさと向き合うことなんだ」という多角的なまなざしも感じた。ひとの、色んな生き方を応援する、あたたかい作品だと思った。
だけど、そんな風に思えるのは、わたしの現在がしあわせなおかげなのかもしれない。
もしもわたしが今、もっと悲惨な状況にあったら、こんな素直にこのドラマを受け取ろうと思えただろうか?
信頼できる作品がある、ということは、わたしの方に素敵さやあたたかさを受け取れる環境が整っているということなんじゃないだろうか。
脚本家さんや漫画家さんだって人間なので、作品そのものが信頼できるものであり続ける保証もないけど。好きな作品を追い続けるっていうのは、自分の中身の変化に気づく機会を与えてくれるのかもしれない。
何はともあれ、いまは『ラストマイル』を観たくてうずうずしている。これは自分の内面に向き合いたいとかそういう意志的なものではなく、単純に面白そうだから。「パスタ食べたい」の欲求と根源的に近いものがある。
調べてみたら、まだお台場の映画館でやっているらしい。明日観に行こうかな。