ホテルの缶ビール/240607
何となく帰りたくない日は、缶ビールを持ってホテルに向かう夜がある。
田舎じゃなければUNIQLOなんてどこにでもある?着替えも買えば良い。PCとWi-Fiさえあれば仕事もいくらだってできる。
そんな気持ちで回転寿司を5皿くらいさくっと食べてから、コンビニで2ℓの水と缶ビールを買ってさっき予約したばかりの部屋にそそくさとチェックインをする。
相手の寝息を確認し、小さな音でNetflixでブダペストホテルを流し今日買った本をパラパラと読み始める。
ウェス・アンダーソンの映画は景色と人物の距離感がとても均等で美しい。本を読む間にふと見た瞬間どんなときでも綺麗な絵を眺めている様だし、光の粒のように跳ねる音楽をBGMにすると心地よい。
ヒライシカナコさんの日記が読みたくて「日記をつけた3ヶ月」を読み始める。
哲学対話や連詩などのWSを通じて同じ課題や時間を共有しながらも違う生活を送る人々が、ZINEという一つのシェアハウスに暮らしながら読んでいるとそれぞれの生活の様子を覗いている不思議な感覚。各々の日記に参加者が登場することで他者のわたしでもコミュニティのかたちが見えてくるのが面白かった。
またヒライシカナコさんの日記の最後に家でつくる名前のない料理から生活を感じられてそれもとても良かった。
ベッドの上にこぼさない様にそっと缶ビールを飲む。お店で飲むときの様に時間を気にすることもなく、ダラダラと自分のペースで楽しめるのがホテルの部屋での缶ビールの良いところ。家とも違って何か他のことも気にならないので、家事と物理的に距離を取るのもたまには必要。
炭酸が抜けたぬるいビールをゆっくり飲みながら、静かで邪魔されない自分だけの夜を満喫する。
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