祖父母の誕生日
いつから根付いたかわからない。妹と私には、いくつかのイベントのたびに手紙を手書きで書く慣習がある。母の日、父の日、祖父母の誕生日、そしてお互いの誕生日だ。おそらく、中の上レベルで筆まめの母に促され、書くようになったのだろう。だって祖父母の手紙だけは、常にイラストを添えて贈っている手の掛けようなのだから。母方の祖父は妹が生まれる前に他界したので、「生きてる間にできる限り形に残る孝行をさせよう」と思ってのことだと推測している。
さて。そんな手紙のネタが尽きているのだ。毎年同じ時期に巡ってくる恒例行事だし、気候のことや元気に過ごしてほしいといった旨のことくらいしか言いたいこともない。プラスに受け止めれば「平穏でいいじゃない」ともいえるが、正直億劫に感じることが増えてきた。
それでも辞めないのは何故なのか。自分でもわからない。ただ、小学生以来ほぼ使うことがなかった色鉛筆やカラーペンを引っ張りだして、何らか描くことを楽しめていることは1つの要因としてあるのだろう。絵心がなくても、どの色を使うか考えるのはワクワクする。発表会に出したり、人様にお見せするものでもないし、と気軽にできていることも理由かもしれない。
とは言ったものの、今年はそこそこ気に入る出来上がりになった。せっかくだし、ここで供養させていただきたい。
祖母の好きなスイカに込めた想いを汲んでくれれば、言葉がなくても許してくれないかしら。そんなことが浮かんだけれど、けっきょく頭を悩ませつつ、体調を気遣う当たり障りのない言葉で書き上げた。