藍染工房ちずぶるー|鳥取県八頭郡智頭町(その②)
見えない部分に魂を込めて|土地がひとつになる、心地よい循環②
〈前回の記事はこちら→種まきから始まる藍染め|土地がひとつになる、心地良い循環①)
染めて色が出る瞬間のために
季節の移り変わりを感じながら藍を育て、縫いから染めまで全て手作業でされている「藍染工房ちずぶるー」。
柴田さんに、藍染めをする上での魅力ってなんですか?とお伺いしたところ、
「すっごく単純です。とにかく染めて色がでる瞬間が好き。ただ、それだけ。」
何度やっても飽きることのない、藍色。その色の美しさがご褒美であり、全ての作業が報われる瞬間。自分のやってきたことが確信となり、感動するぐらい綺麗と思えるそうです。
見えない部分に魂を込めて
現在、ちずぶるーは4名の主力メンバーと数名のアルバイトを中心に活動されています。みんな個性もそれぞれ、思いもそれぞれ。得意分野も違えばキャラも違う。しかし、全員が大切にしていることがあります。
それは、「見えない部分にこそ魂を込める」ということ。
誰も見ないであろう、繋ぎ目の細かな部分、生地の裏・・・。表がいくら綺麗に染まっていても、裏が染まっていないともう一度染め直します。一つの作品を作るのに、2日にかけて染めることもあります。
「誰かの宝物になるものをつくる」
ちずぶるーのコンセプトは、染め師である彼女たちも大事に思えるものを作るということにつながっているのです。
受け継ぐこと、残していくことを、地域と共に
また、ちずぶるーは毎週、地元の鳥取県立智頭農林高等学校へ出向き、藍染めの授業を行っています。生徒は、藍も一緒に育て、様々な藍染めの技法や考え方を学びます。そして1年をかけて、智頭町内の各所にかける暖簾を制作するのです。
地域との繋がりも大切に活動されている、ちずぶるーの柴田さんや境さんたちは、こういった活動も「仕事と思ったことはない」と言われます。ご自身の暮らしの中にすんなりと受け入れ、楽しんでおられるように見えました。
春には畑が始まったり、夏に草取りをしたり・・・、そういった営みの中に、藍染めの全ての工程が組み込まれているようでした。受け継ぐことや残していくことを自然に受け入れているように感じられる、ちずぶるーの柴田さん・境さん。しかし、その根底には、覚悟と強い意思が共存しています。凛とした空気が伝わるような作品に、そういった思いの断片を感じ、「藍」のある暮らしへ思いを馳せるのでした。
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