小児がん女子・シーズン2(3)

再度入院する前日、外科の先生と血液内科の先生と話し合いがあった。説明に用いられた書類には、前回の病気の再発とあった。

「血腫は卵の殻のようなものに包まれていた。その殻のようなものから、わずかに細胞が見つかった。腫瘍になる前に、(なぜか)血腫ができて、そちらが大きく塊になった」

ざっくりした説明だったが、「そうですか」としか言えないし、こんなもんできる原因なんて明確にはわからないのだろう。そのストーリーに噛みつくこともなかった。できた事実があった、それだけなのだ。

血腫は「大網」という場所にできていた。体には、ホントよく知らない場所がある。念のため、その大網を取ってしまおうという。また手術ですか、わー。

この日も娘は騒がず、嫌がらず、先生の話を聞いていた。ただ、手術後の化学療法のコース数(4回、半年)を聞くと「ええー」と言った。

先生の話を聞く前、化学療法はあるよねーと言っていた。「1~2回くらいかな、腫瘍ないし」と、娘は考えていた。11月の頭に退院しないといけない理由があった。

11/7、BPチャンネルFes.がある。己龍が所属するB.P.R主催のイベントで、所属バンドやYouTuberが登場する。娘の好きなYouTuberのヴァンビも「LOG」としてイベントに出演するのだ。こんなことになるとは知らず、張り切って私の妹の分を含めてチケットを3枚買っていた。

娘はこれを楽しみにしていて、先生との話し合いの前も、誰もいない待ち合い室で己龍の「悦ト鬱」を練習していた。

学校にしばらく行けないことよりも、手術がもう1回あるということよりも、「ヴァンビに会えない!」という事実が重かったようだ。私も参輝さんに会えないのだ。確かに重いねー!

「ママは幕張に行って、グッズ買ってきてーたくさん買ってきてー」と泣きつかれる。私持ちで買ってきてほしいと。

買えればいいけども。

私は前回の「再発です」と聞いたすぐ後に、仕事をやめている。悪夢の無収入だ。病院に通う=お金かかる、わかっていても。

せめて、一緒に悦ト鬱を踊ってやりますよ。

こうして、今シーズン2回目の入院生活は始まった。

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