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事業再生のノウハウが活きる小規模M&Aについて

事業再生のノウハウが活きる小規模M&Aについて』
をインタビュー形式でお話し致します。


通常のM&Aとは異なる、小規模M&Aについて


――小規模M&Aとはどのようなものですか?

まずM&Aというのは「株式譲渡方式」「事業譲渡方式」という2つの方式に分かれるんです。株式譲渡方式というのは会社を丸ごと売買するもので、事業譲渡方式というのはその会社の中で欲しい事業を選別して売買するものになります。

両者は対象となる税制も異なりメリット・デメリットもそれぞれ違います。そのためM&Aにあたっては、事前に弁護士や会計士、場合によっては中小企業診断士などの専門家に依頼して、デューデリジェンスと呼ばれる資産査定や内部調査を行い、リスクを全て精査した上で売買を行うというのが一般的です。

それを踏まえた上で、小規模M&Aの場合はデューデリジェンスを行わずに、つまり調査費用をかけずに売買されることが多いんですね。

弁護士や会計士に依頼をしてデューデリジェンスを行うと、規模や内容、深さによって金額は異なりますが、場合によってはそれだけでも数百万円掛かる事もあります。

しかし小規模M&Aというのはそもそも会社の売買価格自体が数百万円ほどの安い金額で売買するものですから、会社を売買する金額よりも事前のデューデリジェンス費用の方が高くなりかねない状況が起こるんですね。

そういった理由から、専門家による事前の下調査なく売買するケースが多くなります。

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――そういった特徴があるんですね。

小規模だから安く気楽にはじめられるM&Aのようですが、潜在的なリスクがたくさん出てくる可能性があります。中小企業の中には、経営管理や法令遵守がいい加減な会社もありますので、例えば従業員の残業代の未払いや取引先との支払いのトラブルといったリスクが考えられますね。

そのほかにも、お金を借りるための保証人に法人がなっているようなケースもあります。(潜在債務や偶発債務)そういった類の問題というのは、決算書を見てもわからないんですね。

具体的に専門家が調査してあぶり出す必要があるのですが、その過程を踏まえずに実行してしまうと、「従業員あての賃金未払いが2年分あった」とか、「買った値段は300万円だったけど、保証している債務が1億円あった」などといったことも起こり得ます。それでもM&Aを実行したい場合は、そういったリスクを考慮して、株式譲渡方式ではなく、事業譲渡方式をとる事もあります。

Web仲介サービスが増えている小規模M&Aの実情

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――小規模のM&Aというのは、実際に現在増えているものなのでしょうか?

そうですね。サービスとしても黎明期にあり、対面型のM&Aの仲介会社や、Web仲介サービスを提供するWeb系の仕事を本業とする会社などが続々と参入しているような状況です。

小規模M&Aのプラットフォームになりたい会社が乱立しているということですね。そういったこともあり、注目が高まっているのだと思います。

ただそのなかで、結局どこのサービスがデファクトスタンダードになるのか、どこのサイトが一番取引量や掲載量が多いのかといったことは、これから決まっていくのではないかと思います。もともと対面型M&A仲介で大きく売り上げていた会社も参入していますので、現状ではある程度強い会社も見えてきたというところかと思います。

――Webサービスに関しては、本当に黎明期といったところなのですね。

WebサービスとしてのM&A、つまりマッチングサービスのようなものですと、掲載量が多い方がいいとか、ホームページの閲覧数が多い方がいいといった戦いになって来ることが予想されます。M&A仲介自体の質があまり問われないような事態になりかねません。

「私たちは必要な情報を掲載しているので、あとは当事者同士やってください」みたいにユーザーへリスクを片寄せすることにより、リスクを管理するサービスを提供する会社が多いです。

――本当に俗にいうマッチングサイトのようなイメージですね。

経営者の方からすると、なかなかわからないことも多いですよね。手軽で安価という事で小規模M&Aに興味を持たれる経営者の方が多いものですから、参入障壁が低く簡単に売買できる可能性がある一方で、思わぬリスクを引き受けてしまう可能性があります。

M&Aの流れと、小規模M&Aの注意点

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――通常のM&Aの流れとしてはどういったイメージですか?

まずは売り手と買い手のマッチングが果たされて、双方の情報の開示が行われ、売買価格の擦り合わせへと進みます。そこでお互いに合意できそうな話になると、経営者同士のトップ面談を行なって、その後の基本合意契約を結ぶ。基本合意契約を結んだあと、デューデリジェンスを行い、その価格が妥当かどうかを検討して、最終合意する。

最終合意の際に売買代金の払い込みを行う。これが基本的な流れになるのですが、小規模M&Aの場合はデューデリジェンスが行われませんので、マッチングサイト上に値段が明示されていて、その値段で妥当だと思うとWeb上でマッチングが成されて、あとは当事者同士で話し合いの後、契約となれば成果報酬として売買代金の何%かを支払うという形になっています。初期費用0、掲載費用0みたいな手軽さがあるということですね。

――M&Aのポイントや注意点としてはどういったものがありますか?

例えば「マッチングサイトで結婚相手を探す」みたいな話でしたら問題ないと思うのですが、企業を売買する小規模M&Aでは、専門家のアドバイスを聞かずに進めるのは非常に危険かなと思っております。先ほど申し上げた、潜在的な債務や偶発債務などといったリスクをチェックせずに、わからないもの同士が合意してしまう可能性があります。

――知識がない中で進めてしまうと、後々の後悔に繋がってしまうかもしれませんね。

そうですね。特に売買価格が比較的安く、手軽にできるという軸でお話が進んでいるものですからね。手軽さと裏腹にある怖さも認識する必要があるのかなと思います。保険でそのようなリスクを手当てする話もありますが、事前の調査があまりに行われていない場合、保険が対象となるか疑問も残ります。

――小規模M&A特有の怖さがあるのですね。

通常のM&Aと小規模M&Aを比べた時に、通常のM&Aにおいては売り買いの相場感というものがあり、だいたい*EBITDA(イービットディーエー)と絡めて語られることが多いです。EBITDAという会社の収益価値を元に3〜5年を目安に評価し値決めや、別途で不動産といった資産を保有している場合は、その資産評価をして、両者の兼ね合いから金額を決定するというような相場感になります。

だいたい金額の目線というのは似通ってくるんですね。ただし小規模M&Aの場合はマッチングサイト型のビジネスですので、掲載者が自由に情報を掲載できるわけですよね。

そのため、M&A仲介の一般的な相場感というのが無視されて、本人の売りたい金額が書いてあるわけなんです。それが決して悪いというわけではありませんが、価格が高いからといってその会社に価値があるとは限らない点が、通常の仲介を介したM&Aとの違いかなと思います。

――会社や金額の調査についても、鳥倉さんにご依頼できるのですか?

そうですね。デューデリジェンスは専門家として携わっている部分ではありますし、必要に応じて信頼のおける弁護士や会計士などとも協力して行いますので、お客様の予算感と必要な情報に合わせて費用を設定してご提案することが可能です。

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――それは安心でございますね。

ただ本当に、先ほどのお話にも戻りますが、300万円で会社の売買をする予定なのに、専門家に300万や500万という金額を支払うのはもったいないですよね。

予算感に合わせて費用を調整したとしても、マッチするのかどうかという懸念もあります。だからこそ、そういった専門家を排除したマッチング型のサイトができるのかもしれませんね。

ちなみに専門家を介さずにM&Aが進んだ場合、問題として起こるのはやはり「高く買ってしまう」ということですよね。本来の価値以上に高く買ってしまうと、引き継いだ人が困るわけです。仮に300万で買ったとしても、潜在的な債務や偶発的な債務が1000万あったという話になると、購入にかかった費用は実質1300万という話になってしまいます。

――それは注意が必要ですね。

また、買う側のリスクばかりをお話ししてきましたが、売る側も「何を考えて情報を掲載しているのか」という視点は大事だと思います。要は、どんな理由があって手放さなくてはいけないということを考えるべきですね。

多くの場合は「他の事業にシフトしたい」とか「親の介護で田舎に帰らなくてはいけない」といった、それらしい理由を書いていたりします。「このコロナ禍で売り上げや利益が立たないので、手放す決断をした」という、今の情勢だからこそのネガティブな話も当然あるわけなんですよね。

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後ろ向きな話が悪いというわけではないのですが、例えば売上1000万で、利益が赤字の会社を買ってしまっていいのか、ということを考えていただきたいです。

その分値段が安ければよいかもしれませんが、売る人も事情があって売るものですから、仮に1000万の事業があって、借金が500万や1000万ありますという場合は、「営業赤字の会社だから0円で売りますよ」という話ではなくて、持っている借金分は完済できるような値段をつけるわけですよね。

すると、会社の収益力と乖離した値段設定になってしまいます。自分が持っている借金を清算したいからという理由で、根拠なく借金の金額と同じ、500万や1000万という値決めをされたり、あるいは会社に対する債務を引き継ぐことを条件とされていることがあります。金額としては安く提示されていても経営者としての連帯保証を外すことを条件とするような場合もありますね。

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一般的に小規模M&Aのマッチングサイトでは金額以外の条件が書いてあることが多いのですが、それって要は借金を肩代わりしてくださいという話なんですよね。

そのため、表看板の値段が安かったとしても、ついてくる債務の金額が大きかったり、逆に表看板の値段が収益力よりも高くなっている場合は、それで借金を清算することを目的に会社を売却したいというパターンも考えられます。

そこから換算しますと、先ほど申し上げたM&A仲介のEBITDAの3〜5年の相場観と全く乖離して、売り手側の会社を救済する値札がつけられることが多いということになります。するとEBITDAで換算した場合、100年分みたいな話もサイト上にはたくさん掲載があります。

つまり小規模M&Aの課題としては、売り手の救済を理由に相場観と乖離した値札がついていたり、付帯条件として金額とは別のところに潜在的な債務が含まれていたりということが挙げられます。

――そうすると、売る側もなかなか売れないといったこともありそうですね。

そうなんです。相場観のある売却価値と10倍、100倍乖離しているような話なものですから、おそらく掲載してもマッチングしないですよね。

M&Aは実は事業再生“そのもの”

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――そういった金額の設定についても鳥倉再生事務所にご相談すれば、適正な売値についてのアドバイスがいただけるのでしょうか?

もちろんです。当然、小規模M&Aに限らず、一般的なM&A仲介のアドバイスもできます。要はそういった案件は実質、事業再生なんですよね。

売主の救済というか、売主の会社の再建を目的とした売買になりますので、事業再生の“知識が活きる“というよりは、事業再生”そのもの“と言えます。小規模M&Aは、事業再生のサービスを提供する中で十分に問題を解決していくことのできる分野だと思っています。

価値がないから売れ無いと言われた会社を事業再生のサービスにより価値ある会社にバリューアップしM&Aで売却した事例も多数持っております。M&A仲介会社に断られた会社の経営者の方もぜひご相談いただけたらと思っています。

――経営に困った経営者の方が、一つの選択としてM&Aを選択しているだけで、本当は別の正解があるかもしれないということにもなりそうですね。

その通りですね。あとはこういうご時世ですと、いい賃貸物件を借りていて、そこに出店できるというメリットを売りにした掲載内容も多かったりします。

または「店舗の内装や什器にお金をかけて綺麗な店づくりをしているので、そこに価値を感じて買ってくれませんか?」というような掲載内容も多いです。

ただし事業譲渡形式の場合は、基本的には大家さんとの賃貸契約は新規に巻き直すことが前提となるものですから、大家さんの方が事業を引き受ける新会社との賃貸契約の更新を了承しない場合は、その物件から撤退しなくてはいけません。

せっかく一緒に買い取った内装や什器も撤去しなくてはいけません。価値があるものとして買ったものの、まったく意味がなかったという話にもなりかねないので、賃貸物件や内装の引き継ぎに価値があるかないかというのは、ひとえに賃貸契約の巻き直しができるかどうかになります。売りにならないものを売りにしているケースも非常に多く見受けられるわけです。

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――そういったことも結局トラブルの元になりそうですね。

そうですね。価値のあるものとして代金を払い込んだら、「結局あなたの責任で撤去してください」みたいな話になりますと、目も当てられないですからね。しかし実際、価値が発揮できるのか不確かな案件の掲載事例は多いです。

――知識がないと、なかなか自分に良いように書いてしまうところもあるかもしれないですね。

当然、Webサービスとしては、掲載量が多いというのがデファクトスタンダード化する一番の戦略ということもありますので、売る側の情報掲載を優先しているわけです。情報の記入が掲載者の任意で行われていて、そういうものを放置している案件があまりに多い印象です。

――売り手も買い手も、適切なアドバイスを受けながら進める必要がありますね。

情報が広く公開されることによって、今までだったら成立しなかった売買が成立していく可能性もあると思いますので、もちろん全否定するつもりはありません。しかし金額が安いという軸でお話がされすぎると、実際の掲載内容と現実の売買取引による経済効果に乖離が生まれてしまうと思っています。

終わりに

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――小規模M&Aに関して、読者の方にお伝えしたいことはありますか?

私はあらゆるM&Aというのは実質、事業再生だと考えているものですから、売り手として売る理由がある時点で、何かしら再生が必要な事業が譲渡されるものだと思っています。

買った会社のリスクコントロールにおいても事業再生の知識が活きると思いますし、買ったあとに受け皿となった会社も統合効果を最大限発揮するためにも、ある種の変化をせざるを得なくなりますので、いずれにせよ事業再生のノウハウが役に立つと思っています。

単純にM&A仲介に手慣れた会社さんよりも、実際は事業再生の専門家の方が上手にM&Aを実行できると考えます。無料面談のご用意もありますのでぜひ1度ご相談下さい。

ここまでお読み頂きありがとうございました。
M&A等でお困りなことがあれば是非ご相談ください。

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鳥倉大介 会社を承継したり再生したりする人 SoFun関東株式会社 代表取締役 認定事業再生士CTP
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