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いたよね からの いますか

小学1年生の頃N君という友達がいた。家が近かったから一緒に帰ったりして、そこから仲良くなったのだとうっすら覚えている。N君は小学1年生という肩書でも看過できないほど読み書き算数ができず、まず自分の名前が書けなかった。1年生の後半で周囲が漢字もそこそこに扱い始めた頃ようやくひらがなが書けるようになったのだが、順番がめちゃくちゃであった。自分の名前に使われている文字を自分の名前の文字数に従って並べ替える、そんな間違いを繰り返し、テストのたびに右上の氏名欄には先生の朱書きで正しい名前が正しい順序で記されていた。別にそれをバカにしたとか周りもバカ扱いしてたとかそんなことは全くなく、小学1年生って周りとのレベル差っていう感覚さすがにないよなと今では思うが、みんな一様に友達だった。小1の頃は近所の友達としか遊んでなかったから、公園やプールによく一緒に行っていた。

N君は学校のお勉強はからっきしだったが、異様に身の回りのことに詳しかった。この身の回りのことというのは、大分県日田市の住環境を取り巻く自然のことである。虫の名前や植物の名前、それが食べられるかどうかなどにめちゃくちゃ明るく、とにかく自然と癒着していた。しかもちゃんと正式名と通称を両方覚えていてその知識量に圧倒された。もちろん知っているだけでなく虫捕りなどの才能もあったように思う。俺は虫をはじめとする自然が苦手だったからその点ではN君は嫌だった。

N君はご想像の通りはなたれ小僧であり、とにかく土着の子、土民っぽさがすごかった。ショベルカーのことをずっと「ユンボ」って言ってたのもそれっぽかった。俺も幼稚園の頃はユンボって言ってたけど、ある段階でショベルカーにシフトするだろ、と思っていた。

そのN君が小2の時に隣の小学校に転校していった。土民タイプが転校することってあるんだ、と思った。さすがに土民タイプとかは思わなかったけど、そういう感覚の認識をしていた。そこからN君の記憶は途絶える。

こういうN君みたいなタイプ、普遍的に全国の小学校にもあるあるネタレベルで存在していたのでしょうか。勉強全くできないけど自然に明るいっていいう特性の子ども、当たり前にいるだろうなと思って疑わなかったけど、まず途方もない自然が存在する環境じゃないと生まれないよな、例えば東京にはいなさそうだな~とか、そういうことを考えるようになりました。あと勉強全くできないっていうのも下手したらいなかったりするんだろうね。皆さんの周りにN君がいたら教えてください。

#私の仕事

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