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多肉植物の夏場の「元気」な育て方は?基本的な知識から枯らさないための対策まで紹介!

いよいよ暑い夏の到来ですね!
日光や乾燥を好む多肉植物にとっては、日本特有の40℃近くまで上がる高温多湿な環境は苦手で、元気がなくなってしまいます。
なかには「大切な多肉植物が元気がなくなって困っている,,,」なんていう人もいるのではないでしょうか?
そこで今回の記事では、多肉植物の夏場の元気な育て方を紹介します。
多肉植物は、生育型によって水やり回数やお世話の仕方を変えることで元気に育てられますよ。
上手に夏越しして、多肉植物を元気に育ててみてください。

本記事はこんな疑問を持つ方におすすめ

・多肉植物の夏越しのコツを知りたい
・育てている多肉植物の生育型を知りたい
・多肉植物の基本的な育て方を知りたい


多肉植物の特性をしっかりと把握

多肉植物は、ぷっくりとした多肉質の葉が魅力。砂漠や高山などの乾燥地帯に自生する多肉植物は、過酷な環境に適応するために葉に水分を溜め込んでいます。
多肉植物の自生地がどんな環境なのかを知り、最適な育て方をすることで、多肉植物を元気に育てられますよ。

多肉植物は世界各地に分布しており、主な原産地は以下の地域が有名です。

  • 南アフリカ

  • マダガスカル

  • メキシコ

多肉植物の原産国の気候は、日本と比較すると雨が極端に少なく、乾季と雨季がはっきりしています。赤道に近いため気温が高く、日中と夜間の気温差が大きい環境です。
多肉植物の自生地に近い環境に、できるだけ近づけてあげることが元気に育てるポイントです。

多肉植物の「元気な育て方」で必須の生育期を把握

多肉植物の生育期は、多肉植物が成長する時期のこと。植物は、温度と昼間の長さである日長で生育する時期が決まります。

四季のある日本では、3つのタイプに分けて育てるのが一般的です。

  • 春秋型

  • 夏型

  • 冬型

多肉植物の生育型に合わせた育て方をすることが、真夏や真冬でも多肉植物を元気に育てるコツになります。住んでいる地域の気温に合わせた種類を選ぶと育てやすいですよ。

春・秋によく育つ「春秋型」の多肉植物

「春秋型」の多肉植物は、春と秋に生育するタイプです。生育適温は13℃〜25℃。春と秋に生育し、夏は生育が緩慢になり、冬は休眠します。
「春秋型」の代表的な種類として、以下の3種類があります。

  • ハオルチア

  • エケベリア

  • セダム

ハオルチア
ハオルチアは、ツルボラン科の多肉植物です。
南アフリカだけに自生しています。多くの多肉植物は日当たりの良い場所を好みますが、岩陰に自生するハオルチアは、半日陰を好みます。軟葉タイプは透明な葉が特徴。硬葉タイプはシャープな形状の葉がスタイリッシュです。

エケベリア
エケベリアは、ベンケイソウ科の多肉植物です。
自生地は中南米。バラの花のようなロゼット状の葉が美しいのが特徴です。

セダム
セダムは、ベンケイソウ科の多肉植物。
世界各地に分布しています。プクプクとかわいい多肉質の葉をしている多肉植物で、寄せ植えにも活用されていますよ。

夏によく育つ「夏型」の多肉植物

「夏型」の多肉植物は、暑い夏に生育期を迎えるタイプです。
生育適温は20℃〜35℃。夏に生育し、春秋は生育が緩慢になり、冬は休眠します。ただし、40℃以上の暑さには耐えられない種類が多いので注意が必要。高温を好む一方で、極端な過湿は苦手なため風通しの良い場所で育ててあげてください。

「夏型」の代表的な種類として、以下の5種類があります。

  • アデニウム

  • ユーフォルビア

  • サンセベリア

  • カランコエ

  • 夏型のクラッスラ

アデニウム
アデニウムは、キョウチクトウ科の多肉植物。
自生地は、アフリカやマダガスカル、中南米の砂漠です。砂漠のバラという別名があり、バラのような花を咲かせます。

ユーフォルビア
ユーフォルビアは、トウダイグサ科の多肉植物です。
アフリカとマダガスカルに自生しており、個性的なフォルムをしています。

サンセベリア
サンセベリアは、キジカクシ科の多肉植物です。
自生地はアフリカやアジア。シャープな葉が美しく、マイナスイオンを出してくれる空気清浄効果のある植物としても人気です。ジャスミンに似た香りのする白い花を咲かせます。

サンセベリアは空気中の有害物質を除去してくれる空気清浄の効果・作用も発表されています。
日本国内の学協会が発行している電子ジャーナルメディアJ-STAGEの「観葉植物のポトスとサンセベリアにおける明・暗条件下でのガス交換と室内空気中のホルムアルデヒド除去」研究の結果では、空気中のホルムアルデヒド、トリクロロエチレン、キシレン、トルエン、ベンゼンなどの有害物質を除去する空気清浄作用があると発表。 さらにCAM光合成を行い、夜間に二酸化炭素の吸収も行うため、非常に空気清浄能力の高い観葉植物としても有名。

出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsrt/36/1/36_1_203/_pdf

カランコエ
カランコエは、ベンケイソウ科の多肉植物。
マダガスカルを中心に、南アフリカ、インド、中国などに分布しています。葉がふわふわした毛で覆われていたり、ツヤがあったりと品種が豊富です。

クラッスラ
クラッスラは、ベンケイソウ科の多肉植物。
アフリカ南部から東部に自生しています。個性的な葉をしており、品種によって生育型が異なる多肉植物でもあります。夏型のクラッスラで有名なのは「金のなる木」。枯れにくいことから、縁起物の植物として古くから日本でも栽培されています。

冬によく育つ「冬型」の多肉植物

「冬型」の多肉植物は、寒い冬に生育期を迎えるタイプです。
生育適温は5℃〜23℃。冬に生育し、春秋は生育が緩慢になり、夏は休眠します。低温を好む一方で霜には弱いので、冬の夜間は室内に取り込むか霜対策をする必要があります。

冬型の多肉植物は、夏の暑さと直射日光に弱いため、夏場の管理が特に大切です。
「冬型」の代表的な種類として、以下の3種類があります。

  • アエオニウム

  • リトープス

  • コノフィツム

アエオニウム
アエオニウムは、ベンケイソウ科の多肉植物。
カナリア諸島や北アフリカなどに自生しています。灌木状の茎の先にあるロゼット状の葉が特徴です。

リトープス
リトープスは、ハマミズナ科の多肉植物。
南アフリカのナミビアに自生しています。中央が割れたようなフォルムの葉がユニークで、割れ目から花が咲く様子も可愛らしいです。

コノフィツム
コノフィツムは、ハマミズナ科の多肉植物です。
南アフリカに自生し、メセンと呼ばれています。1年に一度、秋になると脱皮して新しい葉が出てくるのも魅力です。

夏場の「元気な多肉植物」の育て方

夏場の元気な多肉植物の育て方で大切なのは、水やりです。多肉植物は季節ごとに水やり回数を変えることで、元気に育てられます。
また、日当たりと風通しの良い場所で育てることもポイント。さらに、土や鉢の選び方、肥料の与え方もあわせて紹介するのでチェックしてみてください。

多肉植物を夏場に「元気に育てたい」なら水やり回数だけ注意すべし!

多肉植物を「春夏型」「夏型」「冬型」の生育型別に、季節ごとの水やり回数を表にしたので、参考にしてみてください。

<春秋型の多肉植物の水やり回数>

  • 春・秋 : 多め(月2回前後)

  • 夏 : 少なめ(月に0.5回〜1回ほど)

  • 冬 : 少なめ(月に0.5回〜1回ほど)

<夏型の多肉植物の水やり回数>

  • 春・秋 : 多め(月2回前後)

  • 夏 : 普通(月1.5回ほど)

  • 冬 : 少なめ(月に0.5回〜1回ほど)

<冬型の多肉植物の水やり回数>

  • 春・秋 : 多め(月2回前後)

  • 夏 : 少なめ(月に0.5回〜1回ほど)

  • 冬 : 多め(月1回〜2回前後)

日当たりの良さと風通しの良い場所も大切!

多肉植物を元気に育てるためには、日当たりと風通しの良さが大切です。
風通しの良いベランダや庭の軒下がおすすめ。室内で育てる場合は窓辺に置いて育てましょう。

土・鉢・肥料にも意識!

多肉植物を元気に育てるために、土や鉢、肥料も工夫してあげてください。
多肉植物は根腐れを起こしやすいので、排水性の高い土を使うのがおすすめです。市販の多肉植物用の土は、水はけの良いバランスに配合されているので便利ですよ。

多肉植物を植える鉢は、株まわりよりも2㎝〜3㎝大きいものを目安に選んでください。
底に穴が空いているタイプを選ぶと、排水性が良くなり、鉢の中が蒸れにくくなります。
底の穴から取り込んだ酸素が根にも届きやすいです。
多肉植物は、栄養の少ない環境で自生している植物なので、肥料を与えすぎて栄養過多にならないように育てましょう。
肥料は、多肉植物の生育期に月1回〜2回程度、液体肥料を与えてください。植え替えのタイミングで緩効性肥料を土に混ぜておいても良いでしょう。
梅雨時や夏場、多肉植物の休眠期には、肥料を与えないことが大切です。

”多肉植物を育てるプロ”が実践する「植物を育てる理想の環境づくり」

多肉植物を育てる理想の環境を紹介します。
多肉植物の生産者が実践している育て方は、工夫次第で自宅でも気軽に試せますよ。

風通し

高温多湿が苦手な多肉植物は、風通しの良いところで育てることが大切です。風通しを良くすることで、根腐れや害虫の発生防止にも繋がります。

<プロの対策>
多肉植物を育てている温室内の温度が上がるのを防ぐために、大気の流動を意識して風通しを良くするための対策をしています。温室の窓を開け、複数台の送風機で空気の通り道を確保しています。

<自宅でできる対策>
ベランダや窓辺などの風通しの良い場所に置いてあげましょう。
ベランダで育てる場合は、雨水がかからない位置に置いてください。土が長く湿っていると根腐れしてしまうことがあります。
室内で育てるときは、エアコンの除湿機能やサーキュレーターを活用してみてはいかがでしょうか。サーキュレーターは自由度が高く、風をいろいろな方向に送ることができます。

風に当てることで植物の成長を促すという研究結果があります。ただし、エアコンやサーキュレーターの風を多肉植物に直接当てないように気をつけましょう。
強い風を当てすぎると植物の成長を妨げる可能性があるといわれています。適度な風を間隔的に当てるように調整してあげてください。

出典:機械的刺激が植物の 成長に及ぼす影響(第2報)

多肉植物は日当たりの良い場所で育てましょう。
ただし、強い西日が長時間当たる場所に長期間置いておくと元気をなくしてしまうことがあるので、屋外の東向きか南向きのベランダや窓辺に置いてください。できれば毎日4時間以上の日光浴が理想です。

<プロの対策>
強い日差しを避けるために、寒冷紗(かんれいしゃ)と呼ばれる遮光ネットを温室に張って対策しています。適度な日光を確保しながら、過剰な日差しを遮るようにこまめに調整し、遮熱も遮光率に応じて変更しています。

<自宅でできる対策>
夏場の直射日光を避けるために、レースカーテンで代用しましょう。西日が当たる場所に置くのは避けてあげてください。

その他

水やりは、多肉植物や土をよく観察してから行なってください。
鉢の土がしっかり乾燥していたら、水をあげるタイミングです。水をあげるときは、鉢穴から水が出てくるまでしっかりとあげてください。
エケベリアは、6月中旬頃からほぼ断水しましょう。水やりは、月に0.5回程度で良いでしょう。
ハオルチアは、根腐れを起こしにくいため、1か月〜2か月に1回程度の水やりをします。
夏場以降の育て方(水やり回数)としては、エケベリアとハオルチアともに、夜の最低気温が15℃を下回ってきた頃を境に、月に1回のペースに戻しましょう。10月の秋口頃が目安です。 

多肉植物の様子を日々観察しながら、愛情を持って接しながら育ててあげてください。
ToriDoriみどりでは、多肉植物にとっての理想の環境づくりをして「元気な植物」を育てて日々ご提供しております。

夏場の多肉植物の育て方に失敗した場合はどう対策すればいいの?

日差しが強く暑い夏に、多肉植物の元気がなくなってしまった経験はないでしょうか。葉がシワシワになってしまったり、ポロポロと落ちてしまったりすると育て方に失敗したと思ってしまうかもしれません。

しかし、葉の状態に合った対処をすることで、多肉植物が復活してくれることもありますよ。元気をなくした葉の状態ごとに対処方法をまとめたので、多肉植物の元気がないときは試してみてはいかがでしょうか。

①葉がシワシワになるとき

多肉植物の葉がシワシワになるときは、水不足が原因だと考えられるので、早めに水やりをしましょう。ただし、土が湿っていた場合は、根腐れを起こしかけている可能性があります。風通しの良い場所に移動させて、土を乾かしてみてください。

②葉がシナシナになるとき

多肉植物の葉がシナシナになるときは、風通しの悪さが原因の可能性があります。風通しの良い場所に移動するか、サーキュレーターで風を送って様子をみてください。

③葉がポロポロと落ちるとき

多肉植物の葉がポロポロと落ちるときは、日光不足が原因として考えられます。多肉植物は日光を好むので、日当たりの良い場所に移動させてあげましょう。

まとめ:夏場の多肉植物の育て方は「水と風と光」に気をつけてあげよう!

夏場の多肉植物の育て方は「水と風と光」がポイントです。
水やり、風通し、日当たりの基本の3つを押さえて、上手に夏越ししたいですね。
多肉植物の生育サイクルを意識しながら、暑い夏も大切に育ててあげてください。

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