[読書記録] ざらざらをさわる (三好愛 著)
私が三好愛さんを知ったのは、川上弘美さんの「某」を読んだからです。川上弘美さんの「某」の表紙にとても惹きつけられ、「某とは」、と手に取りました。三好愛さんのイラストには、無機質なようで生ぬるい餃子の皮ような、むにゅっとしているようでもしかしたらふんわりしているのかな、というような、不思議な感覚を受け取ってしまう何かがあります。
読み進めて行くと、三好愛さん自身も、むにゃっとしているようでふんわりした方なんだなぁ、と面白く、分かるような分からないような、ちょっと落ち着かないけれど腑に落ちるという、決してさわれない夢の中の霧のような印象を受けました。
けれどもごまかしごまかし歯医者には行かない。笑
「わかりあえない」では、
昨日までそばにいたと思っていた人のことを、理解していると思うことなんておこがましいことなんだな、と私も思い出しました。ただ、ある日自分のそばから忽然と消えてしまった人のことを、元気に生きているだろうな、と想像するのは優しさなのかもしれない、とも思いました。
どのエッセイにもイラストがついていて、それがなんとも絶妙にしっくり来ます。なるほどこの気持ちをイラストにすると確かにこんな感じだ…(にやり)、となります。面白いです。
特に「嘘みたい」の項目の最後のイラストにはなんともムズムズと、でも私の心の三割はにやりと笑い、「マクドナルド」はかわいらしくそばを歩いて、「受け止める」では、受け止めるなよ、という感情プラスさらにちょっとだけ攻撃的な何かを確かに感じるし。本当に複雑な感情を、少ない情報でシンプルに表しきっているように思えて、じいっと見て「おもしろ…ふふふ」となりました。
私も人が食べているところを見るの、大好きです。
「孤独のグルメ」の井之頭五郎さんの食事の様子を見守ることで得られる心の平穏…、「私も同じです!」と右手を挙げて大きな声で言いたくなりました。